1日、被害者救済法案閣議決定 禁止行為に違反すれば刑事罰も
政府はきのう1日、霊感商法が問題とされるいわゆる統一教会の被害者救済のための法案「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」を閣議決定した。
同法では、不当な寄付の勧誘を禁止し、違反した場合、行政措置として勧告。勧告に従わない場合は命令・公表を行う。報告徴収に対して虚偽報告を行った場合は50万円以下の罰金。また、命令違反に対しては、1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金が科される。さらに両罰規定もあり得る。
規定された禁止行為は7つで、大意は以下のとおり。
① 個人宅を訪問した勧誘者に対して個人が退去を求めても退去しない(不退去)、②訪問先で、個人が勧誘者に退去する旨を告げても退去させない(退去妨害)、③個人に勧誘することを告げずに某所に連れ出し、寄付を勧誘する、④個人が勧誘を受けている場所で、第三者への連絡(相談)を威迫する言動で妨げる、⑤個人が勧誘者に抱く恋愛感情に乗じて勧誘する(恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知)、⑥勧誘者が霊感などの特別な能力を示すことで、個人の生命・身体・財産などに関する不安をあおり、その不安に乗じて寄付を勧誘する(霊感等による知見を用いた告知)、⑦借り入れなどによる資金調達の要請を行う。
また、消費者契約法の「契約」に当たらない単独行為の場合でも取消が可能とし、親が不当な勧誘によって契約した場合に、子や配偶者による取り消し・返還請求も可能とする。
取消権の行使期間は、寄附の追認をすることができる時から、勧誘者が①~⑤の禁止行為に及んだ場合は1年、寄附時からは5年、⑥の禁止行為が行われた場合は同3年、同10年とする。
政府は臨時国会中の成立を目指しているが、消費者庁で「霊感商法検討会」が発足したのが8月末、それから約3カ月というスピード立法となりそうだ。
(冒頭の写真:「霊感商法検討会」の設置を宣言する河野太郎内閣府特命担当大臣、8月26日の記者会見から)
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