食衛法施行規則一部改正巡り審議 食安委が第950回会合~「健康影響評価」は不要
食品安全委員会(山本茂貴委員長)はきのう6日、第950回会合を開き、厚生労働省の照会について検討を行った。議事内容は、小林製薬「紅麹サプリ」事故を受けて9月1日施行を予定している「食品衛生法施行規則の一部改正」に関する事案。
食品安全基本法第11条第1項第1号の要件に適合
現行の施行規則では、食品全般において、営業者に対して医師の診断を受けた健康被害情報を得た場合には同情報を都道府県知事等に提供するように努めることとし、あくまで「努力義務」としているが、改正省令ではこれに加えて、機能性表示食品および特定保健用食品に関しては「健康被害に関する情報を収集するとともに、これらの食品に係る健康被害の発生及び拡大のおそれがある旨の情報を得た場合には、(略)都道府県知事等に速やかに提供すること」(食品衛生法施行規則・別表第17の九)と報告義務を課している。改正案については、6月27日~7月26日にかけてパブリックコメントが実施された。(以下、会合で提出された資料1-1「食品衛生法施行規則の一部改正について」より)
厚労省は、上記の改正が食品安全基本法第11条第1項第1号に定める、食品が摂取されることにより人の健康に及ぼす影響についての評価を行うことが「明らかに必要でないとき」に該当するかどうかを照会した。
審議の結果、同改正は「機能性表示食品等について、営業者が都道府県知事等に健康被害情報を提供することとする改正であり、食品健康影響評価の結果に基づき政策を策定するという手法になじまないもの」(山本委員長)とし、食品安全基本法第11条第1項第1号の規定に該当するとした。
これを受けて厚労省は、今月中に改正省令を公布、食品表示基準の改正に関する内閣府令の施行に合わせて9月1日に施行するとしている。
サプリメント全般への懸念示す
意見を求められ、リスクコミュニケーション担当の松永和紀委員が発言した。今回の法改正は被害拡大の防止に有効だとした上で、サプリメント状の食品への懸念を示した。
「2015年にまとめた『いわゆる健康食品に関する報告書』、『健康食品についての19のメッセージ』でも取り上げたとおり、食品安全委員会は国民の健康保護が最も重要であるという見地から意見を述べている。消費者委員会も、消費者保護の観点からサプリメント食品のあり方の検討を求めているものと理解する」とし、関係閣僚会合がサプリメントに関する規制のあり方について今後も検討を進めるとした点を取り上げ、サプリメント食品全体が抱える問題について厚労省と関係省庁が連携して早急に取り組むべき課題であると念を押した。
山本委員長は最後に、「実効性のある仕組みが検討されることを期待する」、「委員会としても機能性表示食品を含むいわゆる健康食品全般について、今後もリスクコミュニケーションに取り組む。その際、15年に報告書をまとめた当時のワーキンググループ座長で、今年6月まで委員を務めた脇昌子シニアフェローに、今後も積極的に活動していただく」と述べた。
【田代 宏】
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