食薬区分、非医リスト改正実施いつ? 今年5月公示の植物由来物リスト大幅見直し案、「本年度内に」と厚労省
日本薬学会のレギュラトリーサイエンス部会は24日午後、「天然物と健康食品~食薬区分のグレーゾーンとその安全性に着目して~」をテーマにした第22回医薬品レギュラトリーサイエンスフォーラムを国立医薬品食品衛生研究所(神奈川県川崎市)内で開催し、薬学者をはじめ、植物等の天然物やその抽出物などに関わる研究者や健康食品業界関係者ら100人超が参加した。
有識者ら5人が講演。そのうち、医薬品医療機器等法に関連し、健康食品を実質的に規制する食薬区分に係る実務について講演した厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課の担当官は、講演の中で、今年5月に公示していた「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(食薬区分リスト)の「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」(非医)リストのうち植物由来物等に係るリストの大幅な見直し、改正のスケジュールについて言及し、改正の実施は来年3月末までの「本年度内」になるとの見通しを示した。
改正案に対するパブコメ、多数の意見
厚生労働省は、非医リストのうち植物由来物等リストの改正案を今年5月16日に公示し、翌月16日までパブリックコメントを実施していた。それから半年以上が経過した現在までパブコメの結果は公表されておらず、改正も実施されていない。この日のフォーラムで講演した同省の青沼えり氏は、改正案に対して「たくさんの意見が寄せられた」と説明した。
この改正案は、「食薬区分リストにおける植物由来成分の重複や誤認を防ぐため、学名や部位情報を追加する」などの見直しを行うもの。非医リスト収載の植物由来物等を「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)」(専ら医)リストに引き上げて規制するものではないが、非医リスト収載の植物由来物のすべてに学名を追記するほか、名称や他名を変更したり、これまで別の植物として区別しているものを統合したり、逆に、同一の植物に分類しているものを分割したりといった大きな改正を施す内容となっている。
改正案によると、たとえば全草が非医であるブラッククミン(別名ニゲラ)については「クロタネソウ」(学名Nigella damascena L. 別名ニゲラ)と「ブラッククミン」(学名Nigella sativa L.別名ニオイクロタネソウ)に分割する。「ブラッククミンとニゲラは別植物」であることが理由という。また同様の理由で、ガルシニアカンボジア(別名インディアンデイト/ゴラカ/タマリンド)を「ガルシニア・グンミグッタ」(学名Garcinia gummi-gutta (L.) N.Robson 別名ガルシニアカンボジア/ゴラカ/タマリンド)と「タマリンド」(学名Tamarindus indica L. 別名インディアンデイト)に分割する。現行のリストでは同一植物として扱われているが、ガルシニアカンボジアとインディアンデイトは別植物だという。
こういった見直しが随所で行われており、削除の案が示されているものもある。改正案は、食薬区分を審議する専門家ワーキンググループが2023年から続けた見直し議論を踏まえて取りまとめられた。非医リスト収載の植物に由来する抽出物等を販売していたり、最終製品に使用していたりする事業者は、パブコメはすでに終了しているが、改正案を確認しておきたい。
【石川太郎】
(冒頭の写真:100人超が参加した第22回医薬品レギュラトリーサイエンスフォーラムの様子。)
関連資料:改正案(政府のパブリックコメントサイトへ)
:見直しのポイント(同上)
:2025年3月31日食薬区分ワーキンググループ議事概要
:リスト記載整備の考え方(同上)











