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食品表示懇談会、取りまとめ案を公表 2分科会設置など今後のロードマップ示す

 消費者庁は7日、第4回食品表示懇談会を開催した。報告書(案)を公表し、最終取りまとめへ向けた意見交換を行った。

 冒頭、新井ゆたか消費者庁長官が挨拶に立った。「懇談会で取りまとめた方向性を羅針盤とし、それを踏まえて消費者庁が具体的に制度運用するために努力する」との決意を述べた。
 「諸外国との表示制度の整合性」、「個別品目ごとの表示ルール」、「食品表示のデジタルツールへの対応」の3つのテーマについて、事業者が食品表示を正しく活用することで消費者が適切に食品を選択できるという、双方にメリットのある制度運用に取り組む必要があると語った。

 同懇談会が実施されたのには2つの背景がある。食品衛生法、JAS法、健康増進法に分かれていた食品表示の規定を一元化し、2015年に食品表示法が施行された。また、コーデックス委員会の食品表示部会でデジタルツールを活用した表示のあり方が議論される中、国際的な議論に日本も能動的に対応する必要性が生じた。
 これら2つの動きに伴い、来月から厚生労働省の食品衛生基準行政が消費者庁に移行される。他方、「消費者基本計画工程表」においても、合理的でシンプル、かつ分かりやすい食品表示制度の検討を行うことが求められている。

 懇談会では3回にわたる議論を経て、①諸外国との表示制度の整合性について、②個別品目ごとの表示ルールについて、③食品表示へのデジタルツールの活用について――の3課題を抽出。それに対して、④改正内容の施行時期について、⑤食品表示制度の消費者への周知について、⑥各検討事項の議論の進め方について――とする課題解決のための対応のあり方も今後の課題として取り上げた。

 さらにその他の決定事項として「包装前面栄養表示(FOPNL)に関する議論)と「栄養強化目的で使用した添加物」の問題を指摘している。
 前者については、「分かりやすい栄養成分表示の取組に関する検討会」で議論を続けており、12日に行われる年度内最後の会合で報告書の取りまとめに向けた議論を行う予定だ。

 栄養強化目的で使用した添加物については、一般用加工食品の横断的義務表示における添加物の免除規定のうち、栄養強化の目的で使用されるものに関する記述を削除するという食品表示基準の改正案を作成し手続きを進めていく方向で合意している。これに対し、前回の会合において「特段の異論は出なかった」(消費者庁)としている。

 消費者庁は今後、大枠についての議論を行うに当たり、2つの分科会を立ち上げる。1つはデジタルツールの活用を議論する分科会で、もう1つは個別品目ごとのルールを議論する分科会。これらの分科会からの提言や進捗状況に関する報告を受けるかたちで食品表示懇談会を進めていく。
 
 デジタルツールの活用については、国内における活用の方向性についてコーデックスの議論も見据えながら検討する。個別品目ごとのルールについては、業界などの要望を懇談会で業界20団体程度をヒアリングし具体的な改正内容を検討する。
 
 今後のスケジュールについては、「各改正事項について十分な経過措置期間を設けるとともに、経過措置終了時期を極力揃える。事業者の負担に配慮し、食品表示の改正に関する予見可能性を高めながら、表示の改版やシステム改修の頻度を下げられるようにする」(同庁)とし、2029年度の改正に向けて議論を進める。

 今回の懇談会では、言葉の定義や言い回しなどについていくつかの意見が出た。表示に「科学的根拠」という文言を示してはどうかという意見については、消費者団体側から「食品表示には不要」との意見もあった。
 これからの議論として、表示は誰のためにあるのかという原則論を踏まえ、消費者は表示をどのように活用しているのかまた活用するか、適切な情報量とは?事業者の負担はどこにあるのか――など、海外との整合性も図りながらより合理的な食品表示の運用に向けた個別具体論が展開されることになる。次回のコーデックス委員会・食品表示部会は今年11月開催の予定だ。

 消費者庁食品表示企画課・清水正雄課長による報告書案に関する説明は以下のとおり。(⇒つづきは会員ページへ)

【田代 宏】

過去の懇談会および配布資料はこちら(消費者庁HPより)
(冒頭の写真:挨拶する消費者庁長官)

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