阪大・野口准教授、保健指導による医療費削減事例を報告
大阪大学大学院医学系研究科招聘准教授の野口緑氏は29日、都内で開かれたセミナー(主催・(株)明治)で、特定健診で発見されたわずかな異常に早期介入し、保健指導によって医療費が低下した事例を紹介した。
野口准教授は「地域・職場での生活習慣病対策、保健指導における尿酸値の重要性」をテーマに講演し、対象者が自ら学び、自らその解決策を選択していくという「受療行動促進モデル」について説明した。体内で疾病につながる異常がどのように起こり、それによって発症するメカニズムを理解させることで、対象者が自ら改善のための行動を選択できるようになると述べた。
先行的に取り組んだ尼崎市の成果も紹介。2003~07年と08~12年の心筋梗塞疾患による死亡の比率について、兵庫県と阪神間7市(神戸市・西宮市・芦屋市・伊丹市・宝塚市・川西市・三田市)、尼崎市を比較したところ、尼崎市では男女ともに数値を大幅に下げたという。また、2015年度の1人当たりの医療費伸び率について、尼崎市と7市などを比較したところ、尼崎市は阪神間7市と比べて9,587円減少し、類似都市(横須賀市・東大阪市・姫路市・西宮市・福山市・倉敷市・船橋市)と比べて8,295円減少したと報告した。
(写真:講演中の大阪大学大学院・野口准教授)