関西TVが「紅麹サプリ」を追跡報道 防止策としての原材料GMP認証を検証
関西テレビ「Newsランナー」がきのう25日、小林製薬の「紅麹サプリ」事件から3カ月が経った政府による再発防止策にスポットを当てた。同番組がフォーカスしたのは、今後、機能性表示食品制度において受託製造企業に義務化が求められる「健康食品GMP」だ。中でも、今回の事故で問題となった原材料の安全性対策の肝ともなる、原材料GMPの義務化の可否に光を当てた。
「対策 健康食品の安全」と題する番組では、近畿大学農学部・白坂憲章教授の証言を紹介。今回見つかった青カビが「ペニシリウム・アダメチオイデス」という珍しいカビであることを紹介。教授は、清潔なイメージがある工場でも、カビや細菌の混入、繁殖を完全に防ぐとことには限界があると訴えている。
そこで番組では、原材料の段階で防止策を考える必要性を指摘、原材料GMP第三者認証を導入している原料工場を取材している。
(一社)日本健康食品規格協会(JIHFS)の第三者認証を導入しているこの工場では、GMPで求められている全ての工程での作業を記録に残すために、作業内容や時間、担当者の記録を5年間保存している。
トレーなどの器具も隅々まで拭き取り、菌が繁殖していないか厳しく管理する。そして有効成分がしっかり抽出されているかどうかサンプリングし、エキスが決められた範囲内の数値かどうかをHPLC(高速液体クロマトグラフ)という装置で確認する。
同工場の分析担当者は、「異常が確認されたら次の工程に行かないように、誤って製品化されないように管理する」。製造担当社は、「製剤メーカーが安心して使ってもらえる保証のついた製品を出すことができる。最後の検査項目だけで分かることもあるが、そうではないところもあるので全ての工程が決められたプロセスで作られて同じ品質になるので、最後だけでなく途中のチェックも必要」と話している。
政府は今、今回の紅麹サプリ事件を受けて、受託製造工場への健康食品GMPの義務化を目指しているが、なぜ原材料メーカーに義務化の要件がかけられないのか?
番組では、消費者庁が設置した有識者会議「機能性表示食品を巡る検討会」の構成員を取材。「健康食品以外の一般食品を製造している事業者に義務付けるのは難しい」、「原材料を海外から輸入しているケースもある、そこまで追跡することができない難しさがあるので外されたのではないか」などの意見を紹介している。
しかし、原材料を輸入しているある商社の話では、「海外の原料はほとんどがGMP認証を受けている。競合社の輸入元もほとんど受けているだろう。日本に輸入されている7~8割の原材料はGMP認証を受けているため、改めて必要となった場合でもそれがハードルにはならないのではないか」と実態を明かしている。
現在、前述のJIHFSを含め、2機関が第三者認証として健康食品GMPの認証マークを付与する資格を有しているが、今後、政府が義務化を目指している健康食品GMPは必ずしも第三者認証の取得を要件化しているものではないし、現在も認証マークの使用は事業者の任意とされている。
番組スタッフは、薬局のサプリメントコーナーを調査。このような品質保証の認証マークを商品に付けているのは、わずかに3%程度に過ぎなかったと報告している。
【田代 宏】
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