関節ケアの新素材、インデナが発売 植物抽出物をプレミックスし、体感性を強調
植物のオランダセンニチとショウガの抽出物(エキス)を組み合わせた、新しい機能性食品素材がこのほど日本で発売された。抗炎症機能を背景にした、ひざ関節をケアする働きが期待できるもので、発売したのはインデナジャパン㈱(東京都大手町)。体感性の強さと、それを感じるまでの速さをアピールしている。どのような素材なのか。
オランダセンニチ+ショウガ 各抽出オイルを混合粉末に
インデナジャパンが今夏新発売した素材は、「ミティドール」を製品名とする植物エキスのプレミックス素材。独特な辛味と風味があり、香辛料や野菜などとしても使われることのあるオランダセンニチとショウガのエキスを、あらかじめ適切な比率に調整したもの。同社親会社で植物エキスの製造販売をグローバルに手がけるインデナ(イタリア・ミラノ)が開発。海外では2019年から販売が始まっていた。
日本での発売がこのタイミングになったのは、食薬区分の照会などが行われていたためだ。当時、オランダセンニチは食薬区分に収載されていなかったため、同社は厚生労働省に区分を照会、有識者で構成されるワーキンググループの審議結果を待った。その後、21年5月の食薬区分一部改正で、非医薬品リストへの新規収載が正式に通知された。収載名は「キバナオランダセンニチ」、対象部位は「葉・花・茎葉」。オランダセンニチとキバナオランダセンニチは、いずれも「Acmella oleracea」を学名とする同一植物だという。
「日本では馴染みがあまりないかも知れないが、オランダセンニチはとても興味深い植物だ」と同社担当者は語る。英語圏では「Toothache plant」とも呼ばれているためだ。直訳すると「歯痛草」。鎮痛効果があるとされる化合物が含まれため、歯痛を鎮めるのに使われてきたといわれる。「調べたら日本で有名なガムのブランドの一部商品に配合されていた」という。もっとも、「オランダセンニチは食品添加物の天然香料基原物質リストに収載されていて、香料として配合されたものと思われる」。
ミティドールの製品規格を見ると、規格成分は、ショウガの有効成分として知られるジンゲロールおよびショウガオールを2.4~3.9%。また、オランダセンニチに含まれる辛味成分スピラントール(アルキルアミド化合物)が0.3~0.6%で規格されている。製造はインデナのイタリア国内工場。
また、1日あたり有効摂取量は700mg(350mgを1日2回)となる。この根拠は、2020年に発表した臨床試験論文だ。同社はこの論文も背景に、「ミティドール」の体感性の強さと即効性をアピールする。
VASスコア、摂取1週間で大きな変化
この論文は、非プラセボ対照試験の結果をまとめたもの。中等度の変形性膝関節症を持つ男女50人を対象に、30日間連続で同素材を1日2回、350mgずつ摂取してもらい、ひざの違和感(痛み)が減じられるかどうかを、VASアナログスケール(痛みを主観的に評価するための指標)やWOMACスコア(ひざ関節の機能的状態を主観的に評価する指標)などを使い評価した。
その結果について同社では、「VASスコアの平均値を見ると、ミティドールを摂取して約1週間後から痛みが急激に緩和され始め、試験終了後には試験開始時のおよそ半分にまで下がった。WOMACスコアについても、摂取15日目から数値が大幅に下がり、ひざ機能の改善が示唆された」とし、体感性の高さと即効性を強調する。
また、こうした主観的な評価以外にも、客観的な指標として、ESRやCRPといった炎症反応が調べられた。その結果、摂取30日目のESRは試験開始時に対して約12%、CRPについては約36%、それぞれ低下したという。「ブラジルやイタリアではすでに(最終)製品化が多くされており、インデナとしては世界的に拡販したい素材。即効性と体感性が特徴なので、既存の関節ケア素材との差別化素材として提案していきたい」と同社では話している。
【石川 太郎】
(冒頭の写真:インデナが管理しているオランダセンニチの畑と花。同社は2019年からイタリアのサルディーニャ島でオランダセンニチの有機栽培を行っている。画像提供:インデナジャパン)
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事業内容:植物抽出物の製造・販売