酢酸菌、分泌型IgA増加 キユーピーがヒト試験
酢酸菌に分泌型免疫グロブリンA抗体(分泌型IgA)を増加させる働きがあることをヒト試験で確認したと、キユーピー㈱(東京都渋谷区、長南収社長)が9日発表した。風邪に見られる鼻汁、せき、倦怠感といった諸症状を減少させることも明らかにしたという。今月11日に開催される(公社)日本食品科学工学会2021年度中部大会で研究報告を行う。
神奈川歯科大学の槻木恵一教授との共同研究で明らかにした。酢酸菌は、お酢の成分である酢酸の発酵菌で、同社では、機能性表示食品の機能性関与成分として酢酸菌(GK-1)を届け出ている。届出表示は、「花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる鼻の不快感を軽減することが報告されています」。
同社は発表で、「一般的に、花粉症などのアレルギー症状は、免疫機能が正常に働かないことによって引き起こされると言われる」としたうえで、今回の研究成果について、「酢酸菌の免疫機能への作用機序の一部が新たに確認できたことで、酢酸菌のアレルギー症状に対する効果との関連が示唆された」としている。
発表によれば、今回のヒト試験は、20~64歳の健常成人を対象に実施。事前アンケートで「風邪にかかりやすい」とした95人を2グループに分け、一方は酢酸菌GK-1を150億個含む食品を12週間、もう一方には酢酸菌を含まないプラセボを同じ期間、それぞれ摂取してもらった。
その結果、酢酸菌GK-1摂取群は、摂取6週間後、12週間後の分泌型IgA量がプラセボ群との比較で有意に増加。また、摂取期間中、風邪に見られる5つの症状(鼻汁、鼻づまり、せき、全身倦怠感、疲労)と体調の変化を記録したところ、酢酸菌GK-1摂取群はプラセボ群と比べて各症状の発症率が低かったという。
同社は以前、酢酸菌にIgA産生促進機能があることを細胞試験で確認、報告していた。