酒造メーカーがなぜ健康食品OEM企画? 美少年のNLA事業部、実は20年超える歴史
お酒に詳しければご存知だろう。日本酒「美少年」。熊本県菊池市の酒蔵でそれを造っているのが㈱美少年(本社:福岡市博多区)である。一方で、同社には酒造とは別の事業部がある。健康食品や化粧品の製品企画及びOEM・PB事業だ。お酒造りの会社がなぜ、と不思議に思い、美少年エヌ・エル・エー(NLA)事業部の担当者に会いに、博多区店屋町へ出向いた。
ヴァーナルグループの一員としてOEM展開
㈱エヌ・エル・エーという健康食品、化粧品のOEM企画会社が2001年、福岡市博多区に設立された。九州エリア以外の健康食品業界関係者でも、業界経験が長ければ、その名を耳にしたことがあったり、取り引きしたりしたことがあるかもしれない。記者も以前、耳にしたり、目にしたりしていたことを後に思い出す。
同社は22年1月、現社名に名称を変更した。美少年が同社を買収、統合したのが理由ではない。経緯と詳細は割愛するが、実体としては、NLAが親会社に当たる。歴史が長く、一定の認知もある「美少年」の冠を社名に掲げることにしたのだ。以下、美少年NLA事業部をNLAと表記する。
健康食品・化粧品のOEM企画で20年以上の歴史があるNLAには関連会社がいくつかある。第1に、食品などの分析サービスを手がける㈱日本食品機能分析研究所(福岡市博多区)。第2に、食材通販の㈱おとりよせ村(同)、第3に、健康食品販売・卸の㈱日本薬品(同)。
そして第4に、洗顔せっけんをはじめとするスキンケア商材のテレビ通販で九州通販産業の拡大をけん引した1989年設立の㈱ヴァーナル(同)である。NLAは2011年以来、同社の創業者で、ヴァーナルの現代表取締役社長である千堂順子氏率いる「ヴァーナルグループ」の一員として、健康食品・化粧品のOEM企画事業を展開している。
健康食品の独自素材も保有する強み
顧客は九州エリアに多い。最近は、化粧品の案件が増えている。一方、健康食品では、NLA独自の機能性素材を保有してもいる。九州大学や福岡大学と共同で研究開発した「発酵黒生姜」だ。
国産のショウガを発酵及び熟成させたもの。知財権(特許第5297294号)で保護されている製法によって、ショウガに含まれる辛味成分であり、有用成分でもある6-ショウガオールの含有量を一般的なショウガの50倍以上に高めている。九大、福大と連携しながら基礎から臨床までの試験も行ってきた。
これを配合した最終製品のOEM企画の他、原材料供給も行う。海外からの引き合いも少なくない。
また、有用成分が明確なことから、機能性表示食品制度に対応出来るようにすることも以前から検討し、準備を進めていた。制度をめぐる今後の動向を見極めながらとなるが、その実現に向け、対応を進めていく意欲を見せる。実現すれば、NLAは、健康食品OEM企画事業における新たな武器を持つことになる。
同社は今後、ヴァーナルグループの商品開発部門の側面を強めていくことにもなりそうだ。グループのさらなる成長を図るためにも、それが求められている。
一方、健康食品・化粧品のOEM企画で20年以上の歴史と実績を持つ企業でもある。今後も博多を拠点に、九州地域を中心にした顧客の商品企画、開発、製造、販売をサポートし続けることになるのだろう。
【石川太郎 取材日:2024年5月14日】
(冒頭の写真:NLAの独自素材、発酵黒生姜。ショウガオールを高含有する。同社提供)
<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡県福岡市博多区店屋町3-20
TEL:092-263-8333
URL:https://www.nla-co.jp/
事業内容:健康食品・化粧品の企画・開発・製造、機能性素材の開発、販売促進コンサルティングなど
関連記事:【九州のヘルスケア産業2024】進む業態転換と新陳代謝、単品リピート通販生んだエリアの現在地
:【九州のヘルスケア産業2024】KBCCの販路支援~仏から台へ拡大 TSMCの熊本進出で盛り上がる九州
:【九州のヘルスケア産業2024】変貌する九州通販の課題と展望【対談】新日本製薬VSエバーライフ
:【九州のヘルスケア産業2024】キューサイ、新たな経営体制で2年超 「ウェルエイジングNo.1」掲げた佐伯澄社長にインタビュー
:【九州のヘルスケア産業2024】健食通販企業なりの地元貢献の仕方 サプリから地場食材まで手がけるグリーンハウス・横尾一浩社長に聞く
:【九州のヘルスケア産業2024】小規模ながら20年も続く理由とは 健康食品など企画・OEMのオルティック、印藤晴子社長に聞く
:【九州のヘルスケア産業2024】森川健康堂、海外進出に意欲 新規事業「ペットサプリ」受託にも参入