1. HOME
  2. 機能性表示食品
  3. 進化し続ける機能性表示食品(前)

進化し続ける機能性表示食品(前)

 機能性表示食品がさらなる進化を遂げている。届出件数は3,553件、届出撤回数が389件で、総届出件数は3,164件となり、特定保健用食品(トクホ)の許可件数1,075件の約3倍となっている(2020年12月11日現在)。また、届出事業者数は867事業者で、トクホの5.78倍。規制改革規制会議健康・医療ワーキング・グループから出された「一般健康食品の機能性表示の容認」から制度設計が始まった同制度だが、当初の狙いは十分に果たしていると思われる。

機能性表示はトクホの4倍超
 トクホの機能性(以下、ヘルスベネフィット)の種類は12種類とその組み合わせだが、機能性表示食品は55種類とその組み合わせとなっており、機能性表示食品はトクホの4倍以上の機能性表示が可能となっている(各ヘルスベネフィットの表現は弊社が便宜上使用しているもので、法的に認められている表現ではない)。

 また、(機能性)関与成分の数は、トクホの関与成分が92種類、機能性表示食品の機能性関与成分の数は279種類となっており、機能性表示食品の機能性関与成分数は、トクホの関与成分数の3倍となっている(複数の成分の組み合わせの場合も1成分としてカウント)。これらの現象は、企業などの研究開発への強力なモチベーションとなっており、臨床試験に対して、活発な投資が行われている。また、それらのエビデンスを武器に、米国などでの海外展開も非常に活発になっている。

 ヘルスベネフィット55種類のうち、「生活習慣病関連」7種類と「整腸」、「肌の健康」、「骨の健康」、「オーラルケア」はトクホで許可されているヘルスベネフィットだが、それ以外はまだトクホでは許可されていない。機能性表示食品ゆえに可能なバラエティに富んだヘルスベネフィットこそ、同制度の大きな魅力となっている。

初の免疫機能が登場
 2020年最大の話題は、何と言っても免疫機能が登場したことだろう。同8月7日、キリングループ(キリンビバレッジ株式会社、キリンホールディングス株式会社)から5つの免疫機能第1号となる機能性表示食品の届出が公表された。「本品には、プラズマ乳酸菌(L. lactis strain Plasma)が含まれます。プラズマ乳酸菌はpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています」と表示し、待望の免疫機能の機能性表示食品が登場した。

 キリングループの届出書類別紙様式(Ⅴ)-4の中には、「アウトカムの設定にあたっては、欧州食品安全機関が発行しているガイダンス「Guidance on the scientific requirements for health claims related to the immune system, the gastrointestinal tract and defense against pathogenic microorganisms, 2016」を参考とした。当該ガイダンスにおいては、免疫機能に関する表示を科学的に評価するためには、臨床的アウトカムや有益な生理的効果に対する機能性関与成分の有効性を検証することが求められている。それに加えて、各種免疫マーカーに対する効果についても、機能性関与成分のメカニズムを示す指標として重要視されている。これらを踏まえて、表示しようとする機能性に対しては、pDC に対する有効性と、臨床的アウトカム(体調に関する自覚症状)に対する有効性を、研究レビューのアウトカムと設定して機能性関与成分の有効性を検証することが望ましいと考えられる」と述べられていた。つまり、届出にあたり、EFSAの『免疫系、消化管および病原微生物に対する防御に関連する健康強調表示の科学的要件に関するガイダンス』を参考にアウトカムを設定したということである。海外のヘルスクレーム制度における科学的根拠の要件を機能性表示食品制度に準拠させて届出をしたという、画期的な届出だった。

※表中の表現はグローバルニュートリショングループによるものであり、消費者庁のデータベースに収載されているものとは異なる。

<筆者プロフィール>
㈱グローバルニュートリショングループ 代表取締役 武田 猛 氏
麻布大学環境保健学部卒業、法政大学大学院経営学専攻修士課程修了。アピ㈱、サニーヘルス㈱を経て2004年1月、㈱グローバルニュートリショングループ設立、現在に至る。国内企業の新規事業の立ち上げ、新商品開発、マーケティング戦略立案などのコンサルティングや海外市場進出の支援、海外企業の日本市場参入の支援を行う。現在まで、国内外合わせて600以上のプロジェクトを実施。著書に「健康食品ビジネス大事典」(パブラボ社)など。
(つづく)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ