進むデジタル化 どう追いつく?
景表法検討会、ステマ等に問題意識
14日開催された消費者庁「景品表示法検討会」の第2回。先月開催された第1回で委員が述べた意見を同庁で整理した資料(=冒頭の画像)が配布された。法学者や弁護士を中心とする総勢8人の委員が抱える現行の景表法に対する問題意識が透けてみえる。
同資料の冒頭に掲げられたのは、「景表法を取り巻く社会環境の変化への対応」にかかわる意見。ステルスマーケティング等に対する意見が羅列されており、社会のデジタル化が進んでいる一方で「景表法がそれに追いついていない」とする強い指摘も。拡大するインターネット取引でのトラブルの多くが「表示・広告を誤認したことによる」とする意見も記述された。
消費者の誤認を招く可能性のあるステルスマーケティングやサクラレビューなどにどう対応するか。「違反認定をして命令を行うという枠組みに捉われることなく」対応できる方策を検討すべきとの意見も提示された。
この意見について、景表法の執行を担当する消費者庁表示対策課の南雅晴課長は、独占禁止法で定める確約制度(確約手続)を引き合いに出して「参考になるのではないか」と述べた。
違反認定せず不当表示排除できる?
確約手続とは、独禁法に違反する疑いが持たれた時点で事業者が自主的な改善計画を立てて改善を確約し、それを公取委が認定した場合、違反被疑行為が排除されたと見なして措置命令などを免除するというもので、司法取引に似た制度。
違反認定するには時間をかけた綿密な調査が求められる。だが、確約手続が景表法に導入されれば、優良誤認などの疑いのある表示をスピーディに排除できるようになる可能性がある。南課長は、確約手続について「ある意味、法的効果を与えられる仕組み」だと説明した。次回の第3回検討会では、独禁法を所管する公正取引委員会からのヒアリングを行うことになっている。
そのほか、法執行の「連携」に関する意見も示された。たとえば「健康食品などについては、薬機法や健増法との執行連携も必要」だとする意見。また、消費者被害の回復の観点から、「不実告知に基づく契約取消権の規定もある特商法との執行連携が重要」だとする意見も提示された。
【石川太郎】
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