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連載・美容食品素材の今(5) 
機能性表示めぐる動き 広がったヘルスクレーム

 美容(=肌のヘルスケア)をめぐり機能性表示食品制度の活用が進んでいる。コラーゲンペプチド、ヒアルロン酸、セラミド(植物性セラミド)といった美容食品素材の「御三家」は、いずれも現在までに機能性関与成分として届出が完了。当初は保湿に限定されていたヘルスクレームも、段階的に広がってきた。過去も振り返りながら、美容食品素材と機能性表示食品をめぐる動きを2回に分けてまとめる。

塗るのではなく飲む

 体の内側から肌によい成分を取り入れることをコンセプトにした美容食品が市場に定着して久しい。

 定着のきっかけとなったのは、コラーゲン(ペプチド)の消費者認知と需要の拡大だ。2000年代半ば以降、『アミノコラーゲン』(明治)や『ザ・コラーゲン』(資生堂)といった現在も販売されている大型ブランドがけん引するかたちでコラーゲンペプチドを軸とする美容食品市場の形成が急速に進み、健康食品市場全体の中でも大きなボリュームを占めるようになった。

 塗るのではなく飲む。美容の常識を覆すかたちで日本から生まれた食品の新機軸はその後、化粧品で外から、食品で内から、それぞれ肌によい成分を取り入れる「内外美容」という新たな概念も生んだ。これが化粧品業界と食品業界の距離を大きく縮めるとともに、美容食品市場の拡大を加速させた。

 また、その需要と市場は海を越えた。メイド・イン・ジャパンの美容食品がアジアを中心に消費者からの関心を高め、美容食品素材の製造・販売を手掛ける主な原材料メーカーが欧米などからも引き合いを受ける状況が生まれた。特に、アジアでの需要は今後さらに高まると予想されている。

進んだ機能性研究

 一方で、美容食品市場に課題がなかったわけではない。第一に、機能性も含めて消費者認知度がずば抜けていたコラーゲンペプチドに依存せざるを得なかったことがある。それはコラーゲンペプチドに何かが起これば美容食品市場全体に影響が及ぶ構図を描くことになった。

 実際、出る杭は打たれる式に、コラーゲンペプチドの効果を疑問視する声が大きく高まった時期がある。そうした声の背景には、コラーゲンがタンパク質の一種であることがあった。タンパク質はアミノ酸として消化、吸収されるという常識に基づき、コラーゲンペプチドを摂取することと、肌に対する有効性の関係が強く疑問視された。

 しかし、研究が進み常識が変わる。コラーゲンペプチドを摂取すると、アミノ酸だけでなく、皮膚に関わる細胞に対する生理活性を持つジペプチドやトリペプチドとしても消化、吸収されていることが分かった。そして疑問の声は小さくなっていった。

 また、ヒトを対象にした経口摂取試験が活発に行われるようにもなり、肌に対する有効性に関する知見が積み上げられていった。さらに、そうした動きは他の美容食品素材にも伝播していった。結果、肌に対する機能に関する一定の科学的根拠を、幾つもの美容食品素材が備えるようになり、全てがというわけではないが、美容食品は一定のサイエンスに基づくマーケットへと段階的に成長していった。そして2015年4月、機能性表示食品制度の施行を迎えることになる。

制度施行初期から届出

 ヘルスクレーム(届出表示)に「肌」の文言を含む美容領域の機能性表示食品の届出は制度スタート直後から行われた。

 施行初年度の届出を意味する「A」の届出番号1~10のうち3つ(A4、5、10)が肌に対する働きを訴求するサプリメント。

 A4、5の機能性関与成分は、保湿成分としてコラーゲンペプチドに次ぐ消費者認知度を得ていたヒアルロン酸ナトリウム(Na)、同10は、「植物性セラミド」とも呼ばれ、やはり肌の保湿機能が知られていたグルコシルセラミド(米由来)。届け出られたヘルスクレームは、ヒアルロン酸が「肌の水分保持に役立ち、乾燥を緩和する機能があることが報告されています」(A4)、グルコシルセラミドは「肌の保湿力(バリア機能)を高める機能があるため、肌の調子を整える機能があることが報告されています」だった。

 それぞれ機能性に関する一定の科学的根拠を予め備えていたことが、制度施行最初期からの届出につながったと言える。その後、特にグルコシルセラミドは、由来をこんにゃくやパイナップル、モモなどにも広げながら、届出件数を大きく伸ばしていった。

(つづく)

【石川 太郎】

関連記事:連載・美容食品素材の今(5) 機能性表示巡る動き(後)

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