迅速な化粧品評価方法、OECDテストGLに収載
(国研)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は5日、角膜構造を模した培養モデルを使用し、迅速に化学物質の刺激性を判定する方法が、化粧品原料などの安全性評価法として、新たに経済協力開発機構(OECD)のOECDテストガイドラインに収載されたと発表した。今後、実験動物を用いない簡便で迅速な試験法として、化粧品などの開発が期待されると説明している。
Vitrigel-Eye Irritancy Test(Vitrigel-EIT法)は、化学物質が目に付着した際に、目に及ぼす障害の有無と重篤さを評価するための試験法。生体内の結合組織に匹敵する高密度コラーゲン繊維網で構成される新素材「コラーゲンビトリゲル」を使用し、コラーゲンビトリゲル膜を6日間培養して、ヒトの角膜上皮組織に酷似した約6層の細胞層と上皮バリア機能を有する培養モデルを作製。次に、この培養モデルに化学物質を添加後の電気抵抗値の変化を3分間測定することで、目に対する刺激性の有無を判定する。
従来の試験法では、ウサギの目に化学物質を滴下した後の角膜の濁りや腫れなどを観察するか、、または培養細胞や培養モデルに化学物質を滴下した後の細胞生存率を測定することで、化学物質の目刺激性を測定していた。そのため、化学物質の添加から判定までは、数時間から数週間を要した。一方、Vitrigel-EIT法では、3分間の測定で、再現性の高い試験結果が得られるという。