小島氏、フェイクニュースを斬る!
農薬工業会がファクトチェックセミナー開催
農薬工業会(東京都中央区)がきのう開催した「メディア向け情報交換会」で、食品安全情報ネットワーク共同代表の小島正美氏が講演した。テーマは「ファクトチェックの重要性とその限界」。同氏は数々のフェイクニュースを紹介し、ファクトチェックの難しさとその背景について具体的な事例に基づきながら紹介した。
例えば昨年、当時の麻生太郎副総理が「やっかいどう米」と揶揄されていた北海道米が「ななつぼし」、「ゆめぴりか」などのブランド米としてもてはやされるようになった原因について、それは「温暖化のおかげ」と発言したとする報道をどう見るか。一見、フェイクとも判断できるが、長い目で見ると「温暖化の影響がないとは言えない」と小島氏。フェイクニュースの見極め方の難しさについて語った。
同氏は、「ファクトチェックとは何か」、「その限界は何か」、「新聞の偏りはどの程度か。1紙に洗脳されないための処方術」、「新聞の悪い特徴は何か。政府批判と重なるリスク過剰報道。記者が好むコンセプト」、「記者は確証バイアスの典型。市民に弱い。総括しない。訂正を出したがらない」、「専門家だから信用できるわけではない(コロナワクチンの専門家)」、「週刊誌をどう読み解くべきか」、「医療健康記事はどう読めばよいか」、「よい記事を書くためのガイドラインを分野別につくる」などについて、記事に騙されないための処方箋と読み方、良い記事を書くための対策について講演した。
昨年起きたサクラ印ハチミツの自主回収問題、ゲノム編集食品をめぐるリスク報道にも言及。新聞記者時代の自らの体験も交えて、そもそも記事は記者や媒体社の加工品。記事は消費者の不安に寄り添う傾向がある。読者は加工品にはバイアスがかかっていることを知ることが大切とした。
フェイクニュースという単語がメジャーになったのは、トランプ政権下における出来事が最初と思われるが、それ以前、20世紀初頭の世界大戦時にその言葉は生まれ、第二次世界大戦中にピークに達したともされている。第二次世界大戦後に米国を席巻したマッカーシズムもその1つではないか。
【田代 宏】
(冒頭の写真:小島 正美 氏)