1. HOME
  2. 健康食品
  3. 実績にふさわしい受託工場とは?(後) 元サプリ通販トップが明かす選び方

実績にふさわしい受託工場とは?(後) 元サプリ通販トップが明かす選び方

原料メーカーを商談相手に
 主力商品をさらに拡販していく段階では、「売れる理由」を強化する必要性に迫られるため、どうしてもリニューアルが必要になる。顧客からの意見を参考に、また広告で差別化できる要素を追加する、さらにはコストを下げるなどがテーマとなるはずである。
 そういう時期に来たら、商談相手は原料メーカーが主になるべきである。特に機能性表示食品などのシステマティック・レビューの作成や原料規格、原料特性、定量方法、他素材との相性、安全性などの情報は全て、原料メーカーに集約されているからであり、何よりも各受託工場に原料を卸しているため、価格を安く卸している工場や製造に慣れている工場を良く知っている。原料の購入も、その工場を通じて購入してもらう方がロスが少ない。原料情報に従って処方を販社が主体で設計し、原料コストを抑えながら、品質の安定を図る方向で受託工場を決めることができるのは理に適っている。受託工場と直接取引のない場合は、原料メーカーからの紹介という形式を取れば、取引開始時にお互いの立場をフラットな状態で始めることができる。
 ちなみに「販社が主体で設計」というのは、企画内容やアイデアはあくまでも販社側の決定事項であって、その設計を活かすために工場を選ぶということで、主導権をこちらで持たないと、工場の切り替えをする場合に悪感情が残ってしまう懸念があるからだ。取引先には常にそういう部分も配慮していくことが重要で、そのため日常のコミュニケーションは大切にしたい。

工場の特徴を活かす
 コストや納期などはひとまず置き、工場を選ぶ場合に設備の状況(ロットや剤型の得手不得手)や技術、知的財産(製法特許など)が決め手となる場合は多い。どのような剤型を作る設備を持っているかだけではなく、打錠やカプセルの有力な特許技術を持っていたり(製品設計にフィットしている場合は広告にも使える)、難易度の高い配合のソフトカプセルや丸剤などに職人的な技術力が活かせるノウハウを持っているなども、工場を選択する理由になり得る。また、味にこだわる製品(粉末など)の場合には、官能(味や香りなど)に優れた研究員がいる受託工場を選ぶことで試作回数も減り、製品の販売までに時間を短縮できるというメリットを活かせることもある。

工場見学で、各社の特徴を比較
 受託工場を選ぶには、それなりの選択肢や相手先に関する情報を日常的に知っておくことが重要になってくる。担当の営業マンとのコミュニケーションや、展示会などでの開拓、第三者からの紹介などのほかに、やはり工場の見学をすることは大きなメリットがある。工場設備の規模や衛生管理方法、品検設備や原料管理方法が把握できるほか、普段はクライアントと接しない立場の学術者や管理責任者などとも話ができる。やはり訪問して顔を見せることは、こちらの印象を植え付けることができるだけでなく、いざ納期や技術的な問題が発生したときにも、直接やり取りができることで最善策が早く得られやすい。

信頼関係の構築が重要
 実は、剤型の種類、知的財産、原料の購入価格、規模などの違いはあれ、製造のコストという部分ではそれほど大きな差はない。製品設計の際にコストを見据えた設計をしていれば、かなり原価は下がるはずで、逆に製造工賃部分を削る余地はそれほど多くない。むしろ、どれだけこちらに関心や期待を寄せてくれるか、面白みを感じてくれるかという部分でコストや納期は変わってくることが多い。こちらの要望にどれだけ応えられるのかを真剣に検討してくれれば、多かれ少なかれ成果は生まれるはずだ。受託工場のキーマンたちが同じ課題を持つパートナーとしての当事者意識を持ってくれるかどうかの方が、机上の理論で云々言うよりも、ずっと重要だと思っていいだろう。最後に、受託工場選択のポイントを上げる。
「販社の知識や力量により、パートナーの受託工場は変わる」、「初期は情報力や企画力、スピードに優れた工場を」、「主力商品設計の主体は、あくまでも販社が持つ」、「機能や品質を優先するなら、原料メーカーと商談し、その情報により受託工場を選ぶ」、「工場独自の技術力や秀でた点を、常に見つける努力をする」、「工場見学は積極的に行い、現場のキーマンたちとの交友を計る」、「製造工賃に大きな差はない。初めの設計が大事」、「パートナーとの信頼関係、情熱の共有がコスや納期を圧縮するアイデアを生む」。

(了)


<筆者プロフィール>
㈱ベルーナに33年勤務。同グループ企業の健康食品専門通販、化粧品専門通販、食品専門通販などの新規事業創設を主導。㈱リフレ元代表取締役。2019年9月、㈱食品機能研究所設立し、代表取締役に就任。「売れ続ける商品開発」をテーマとする実践型業務支援で、複数企業のコンサルティングを行う。主にサプリメント商品開発、マーケティング、広告表示、機能性表示食品届出などが中心。

関連記事実績にふさわしい受託工場とは(前編)

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ