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実績にふさわしい受託工場とは(前) 元サプリ通販トップが明かす選び方

㈱食品機能研究所 代表取締役 勝田 徹 氏

健康食品を売る理由
 健康食品販売会社の商品開発のお手伝いをしていることから、最終製品を製造する受託工場について質問をされることが多い。ほとんどの販社が「一番安くできるところはどこか?」と尋ねてくる。しかしながら、それだけで選ぶことは、かえって自分の首を絞めることにもなりかねない。
 BtoCで健康食品を販売するときに各社が意識しているのは商品の差別化である。なぜそこを目指すかという理由は、健康食品特有の「製品のメリットが感じにくい」という性質に由来する。家具や宝石、衣服などは、手にしたときに商品の価値を評価することが可能だが、健康食品の場合は長く続けて飲用しなければ体感が得られないという特徴が根本的に存在する。従って、何度も継続的に同じものを買い続けていただくメリットがないと、お客様にとっても企業にとっても意味がないことになる。
 そのために、定期制度やサービス、読み物を通じてCRMを構築したり、自社商品においては「なぜそれが優れているのか」という理由を作ることで、他社の製品に切り替えられたり、途中で飲用をやめてしまうことを防止し、自社の利益を確保してゆくことにつなげる。
 短期的な売上を目指すなら、単にレスポンスの高い商品を投入し、単回購入で利益を回収できる「売れ筋」を仕入れて提供すればよい。その場合は情報力と調達力、および広告媒体制作スピードがあれば勝負できるので、何も健康食品でなくても良く、あえて言えばもっと売れるものはたくさん存在する。ただそれは、将来の安定が約束されるものでもなければ、やがて価格競争で利益は削られてしまうという道しかない。ここでは、健康食品で将来的に安定した地位を目指す企業にとって適正な受託工場の選び方について、少しでもヒントになればという観点で拙文を記すこととする。販売者の立場として多くの失敗を経験した立場から、一意見として参考にしていただければと思う。

8つの選定基準
 販売者がまず最初に考えなければいけないことは、現在の自分たちの能力はどの位置にあるのか、ということである。それによって、選ぶべき受託工場が決まると言っても過言ではない。
製品の差別化を図り、固定顧客を増やし、定期的安定的に商品が売れ続けることを目指せることで、選択要件の優先順位はだんだんと変わっていくことになるだろう。
 受託工場を選ぶ基準として、①ロット・納期などの対応の柔軟性、②コスト優位性、③技術力、④品質管理能力、⑤学術知識、⑥市場調査力、⑦コミュニケーション能力、⑧法的知識などが上げられるが、ここではそのいくつかについて言及する。

市場参入初期の選び方
 企業がBtoCの健康食品業界に参入するきっかけはたくさんある。全くの新規は却って珍しく、例えば、他の製品(化粧品や雑貨など)を取り扱っていて食品をアイテムとして拡張したり、もともと店舗展開で健康食品を売っていたり、メーカーの立場でBtoBからBtoCへ参入したりするケースが多い。健康食品に関わりのある企業であれば、既存の取引先が第一候補になるが、新規に近いかたちで参入する場合は、情報力と企画力のある受託工場を選ぶのが一般的であり、拡販の助けになることだろう。
 こちらが知識不足の場合は受託工場の営業から、あるいは企画会社の仲介で選ぶことは、今後の販売者が必要な能力をカバーするだけでなく、販売者従業員の育成にもつながる。ただし、ロットの問題やコストの問題には目をつぶらなくてはならないことも多い。また、当該受託工場が不得手としている製法などは避ける傾向にあるため、「できない製品や剤形」の提案をしてくることがないので、情報が偏る場合もある。ただ、販売会社に人材がいない場合は、極めて頼れる存在になるはずだ。
 販売企業が自ら受託工場を選ぶ力量になってきたら、作りたい製品の特徴に合わせて選択していく段階になるわけだが、それが前述の①~⑧の要素となるわけである。

主力商品投入期の選び方
 主力商品は、数年にわたり販売を続けていく投資をしなければならないものである。お客様に長く購入してもらうためには、体感性や利便性、経済性が重要な要素になってくるのは当然だが、なかでも、体感性の追求は、⑤の学術的な知識や幅広い素材の情報が必要となるので、学術研究などに詳しく、多くの原料メーカーとの付き合いのある受託工場がふさわしい。また、初めは小ロットで生産が可能で、かつ営業マンとの日常のコミュニケーションが取りやすい工場が望まれる。


(つづく)


<筆者プロフィール>
㈱ベルーナに33年勤務。同グループ企業の健康食品専門通販、化粧品専門通販、食品専門通販などの新規事業創設を主導。㈱リフレ元代表取締役。2019年9月、㈱食品機能研究所設立し、代表取締役に就任。「売れ続ける商品開発」をテーマとする実践型業務支援で、複数企業のコンサルティングを行う。主にサプリメント商品開発、マーケティング、広告表示、機能性表示食品届出などが中心。

関連記事:実績にふさわしい受託工場とは(後編

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