1. HOME
  2. 健康食品
  3. 認知機能領域に展開できる可能性 【新規の機能性関与成分を探して】海外植物エキスメーカーが臨床試験行う

認知機能領域に展開できる可能性 【新規の機能性関与成分を探して】海外植物エキスメーカーが臨床試験行う

 新規の機能性関与成分ではない。だが、その成分として新規の機能性を表示できるようになるかも知れない。「新規の機能性関与成分を探して」と題した一連のシリーズの最後に取り上げるのは、アイ(目)ケア機能で届出が多いビルベリー由来アントシアニン(ビルベリー果実エキス)である。イタリアを本拠地とする植物エキスメーカーが先ごろ、臨床試験を実施。認知機能に及ぼす働きを表示できる可能性が出てきた。

毛細血管の微小循環に対する働きに着目

 ビルベリー果実エキスの有効性を検証する新たな臨床試験を実施したのは大手のインデナ社だ。「ミルトセレクト」のブランド名で製造販売を展開。日本でもアイケア(目の健康)領域の機能性表示食品対応素材として利用されている。ちなみに、4月1日から新規届出に関して義務化されたシステマティックレビューのPRISMA2020準拠への対応も終えている。

 そのミルトセレクトが今後、アイケアから認知機能の領域にまで広がりを見せるかも知れない。日本法人のインデナジャパン㈱(東京都千代田区)によると、インデナ社は先ごろ、ミルトセレクトの摂取が健康な人の認知機能に及ぼす影響を検証するランダム化比較試験(RCT)を実施。評価項目は、視覚記憶、言語記憶、記号・数字処理速度、ストループテスト、実行機能などで、摂取から間もない60分後および180分後、そして4週間後についてそれぞれ評価した。

 その結果をまとめた論文は、取材した5月中旬時点では投稿中。そのため詳細は不明だが、同社によれば、認知機能の一部である実行機能について、摂取60分後及び180分後の時点で改善が見られたほか、同じく評価項目にしたPOMSスコアのうち「気分の改善」について、摂取4週間後に改善が見られたという。

 もしも結果が実際に良好で、今後発表される論文が機能性表示食品制度にも活用できるものであった場合、インデナ社のミルトセレクトは、アイケア機能と認知機能関連の機能性を同時に訴求できるようになる可能性がある。インデナジャパンは、「論文掲載後に内容を精査したい」としている。

 インデナ社がミルトセレクトによる認知機能に及ぼす影響を調べる臨床試験を行ったのは、ミルトセレクトは血管の微小循環を改善する働きを持つことを事前に確認できていたからだ。微小循環と認知機能は関連しているとされる。「微小循環を改善することで、目だけでなく全身の健康に影響を及ぼす可能性がある」(インデナジャパン)という。

ブドウ種子エキスでも同様に臨床試験実施

 そういった考え方は、ミルトセレクト以外の素材にも適用された。インデナ社は、抗酸化物質で、血管内皮細胞の酸化を抑える働きなどが報告されているプロアントシアニジンを豊富(95%以上)に含むブドウ種子エキス「エノビータ」についても、ミルトセレクトと同じように認知機能に及ぼす影響を確かめるRCTを実施。インデナジャパンによれば、ワーキングメモリー(作業記憶)のエラーを減らす効果などがみられたという。試験結果に関する論文は、ミルトセレクトのRCT結果などもまとめた1つの論文として現在投稿中だ。

 エノビータは、日本で先ごろ、機能性表示食品対応素材になった。含有するプロアントシアニジンを機能性関与成分とするかたちで、「正常域で高めの血圧(拡張期血圧)を低下させることが報告されています」という機能性表示の届出をインデナジャパンが行い、先ごろ公開。ミルトセレクトと同じように、今後、1つの素材で2つの機能性を表示できるようになるかもしれない。

 インデナジャパンが供給する機能性表示食品対応素材は、ミルトセレクトやケルセフィット(ケルセチン含有エンジュ抽出物)をはじめとする現在6素材。肝臓ケア機能を訴求できるスルフォラファングルコシノレートを含有するケール種子抽出物「ピュアビーケール(PureBKale)」もあり、同成分についても先ごろ、PRISMA2020に準拠したSRの届出を終えた。今年以降、研究投資を行いながら、機能性表示食品対応素材のラインアップを拡大していく計画だ。

【石川太郎】

(冒頭の写真:ビルベリー由来アントシアニンの基原材料になるビルベリー果実。インデナジャパン提供)

関連記事
【特集】新規の機能性関与成分を探して 関連記事
まだまだ足りない機能性関与成分、一方で立ち塞がる「120営業日ルール」
機能性の前に安全性、確認どうする? 3.11通知「自主点検」踏まえた新ツールに注目
MSM、日本市場導入から20年超 膝の違和感軽減、クロレラ工業が初の届出
女性の一時的な精神的疲労感軽減機能 タキシフォリン、DHQが届出
認知機能に新たな視点でアプローチ 富士産業、4′-デメチルノビレチンなど差別化商材
世界3大飲料に含まれる関与成分 内臓脂肪減少、マテ抽出物開発企業が届出

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ