健康食品『麹の贅沢生酵素』、『FLORA FURORA』の販売をめぐり、購入者に対して不正な請求を繰り返していた通信販売業者㈱GRACE（東京都新宿区、江頭竜輔社長／以下、グレース）に対し、適格消費者団体（特非）消費者ネットおかやま（岡山市北区、河田英正理事長）が消費者契約法41条1項に基づき、2月10日付で差し止め請求訴訟を前提にした事前請求書を送付していたことが分かった。
　同法によると、書面がグレースに到達後、1週間を経れば同団体に差し止め訴訟を提起する権利が生じる。21日現在、グレースからの「連絡はない」（同団体）とし、現在、提訴を検討中。

　消費者ネットおかやまによると、グレースが販売する健康食品を定期購入したという複数の消費者から、定期コースを解約したにもかかわらず、法律事務所から代金の請求書が送られて来るとの情報提供を受けたという。中には、「訴訟」や「支払督促」、「民事訴訟」などの法的措置をとると記載された通知もあったとしている。

　これらの事態を受けて調査した結果、全国の消費生活センターに同様の相談が多数寄せられていることが判明したことから、同団体は「商品等の代金未納がない消費者に対して代金請求しないこと」、「代理人（弁護士）に対して代金の請求を行わないように指示すること」、「すでに請求した消費者に対して代金請求が誤りである旨を通知すること」の3点を求めている。

　請求を受けた消費者の中には、「支払い済みの証拠もあり納得できない」と請求の不当性を主張する人がいる一方で、「支払わなければならないか」、「揉めるなら払っても構わないが、どうしたらよいか」、「本当に未払いなのだろうか。時間が経っているのをいいことに、不当な請求を続けているのではないか」などの相談もあるという。

　グレースは2020年1月22日、特定商取引法違反に問われ、消費者庁から『麹の贅沢生酵素』の表示について是正指示を受けている。さらに同年8月7日、『麹まるごと贅沢青汁』を違法に販売していた㈱wonderが業務停止命令を受けた際には、業務の主導的な役割を果たしていたとして消費者庁は、グレースの江頭社長に業務禁止命令を下している。

　また、消費者ネットおかやまは現在、表示改善を求める訴訟をグレースと争っている。電話による解約しか受け付けないとしていた同社に対し、メールや手紙による解約も受け付けるように要請。同団体の担当弁護士によれば、昨年12月16日に行われた3回目の裁判には江頭社長も出席し、メールによる解約も受け付けるとしてグレース側はすでに表示を是正しているというが、手紙による解約についてはなお係争中。次回期日は4月13日の予定。

【田代　宏】

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