1. HOME
  2. 学術トピックス
  3. 表皮におけるヒアルロン酸の働きを解明 花王、ヒアルロン酸の構成成分の誘導体を新開発

表皮におけるヒアルロン酸の働きを解明 花王、ヒアルロン酸の構成成分の誘導体を新開発

 花王㈱(東京都中央区、長谷部佳宏社長)はこのほど、健全な表皮の形成におけるヒアルロン酸の働きを明らかにしたと発表した。表皮ヒアルロン酸の産生を高めることにより、十分な厚みがあり、うるおいとハリに満ちた表皮の形成につながること、さらに、新たに開発したN-アセチルグルコサミンの誘導体が、表皮細胞によるヒアルロン酸産生を促進することを確認した。
 今回の研究成果の一部を、6月4~8日に米国で開催された「第14回国際ヒアルロン酸学会(International Society for Hyaluronan Science・14th International Conference)」で発表した。

 花王グループでは、1981年より、皮膚におけるヒアルロン酸の合成・分解の仕組みやその制御について多くの知見を見出してきた。例えば2002年には、表皮におけるヒアルロン酸合成の仕組みを遺伝子レベルで解明し、04年にはN-アセチルグルコサミンの表皮ヒアルロン酸産生促進作用を発見した。しかし、表皮ヒアルロン酸が、表皮細胞のターンオーバーや表皮形成、また皮膚性状にどのような影響を及ぼすかは分かっていなかった。

 今回、N-アセチルグルコサミンの構造を改変し、さらにその安定性を高めた「1-エチル-β-N-アセチルグルコサミニド」を新たに開発した。培養した表皮細胞にこの新たなN-アセチルグルコサミン誘導体を添加したところ、ヒアルロン酸の産生を顕著に高めることが確認できた。そのメカニズムとして、「1-エチル-β-N-アセチルグルコサミニド」は、表皮細胞の中に取り込まれた後、細胞が持つ酵素(β-N-アセチルグルコサミニダーゼ)の働きによってN-アセチルグルコサミンに変換され、ヒアルロン酸の材料となってヒアルロン酸の産生を促進することが分かった。

 さらに、新規N-アセチルグルコサミン誘導体を3次元培養ヒト皮膚モデルに添加したところ、表皮ヒアルロン酸が増加するとともに、基底層における表皮細胞の増殖、有棘層から顆粒層における表皮細胞の角化が促進し、表皮の厚みが増加することが確認できた。一方、これらの効果は、β-N-アセチルグルコサミニダーゼの働きを阻害して、N-アセチルグルコサミン誘導体をN-アセチルグルコサミンへ変換できないようにすると、いずれも消失した。
 これにより、表皮ヒアルロン酸の役割として、表皮細胞の増殖と角化を高め、健全な表皮形成を促進することが示されたとしている。

 表皮においてヒアルロン酸は、加齢に伴って減少することが知られている。今回同社は、33人の女性(40~58歳)を対象に、新成分を配合した製剤と、配合していない製剤を顔の左右それぞれに8週間使用してもらい、肌状態を比較した。その結果、新成分配合製剤を使用した方の肌では、角層水分量が上昇し、肌のハリ(皮膚粘弾性)が高まったことを確認したという。

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ