行政とのパイプ役として業界を支える 【年頭所感】(公財)日本健康・栄養食品協会 矢島鉄也理事長
新年を迎え、謹んで皆様方の協会事業へのご理解、ご支援に対し御礼申し上げます。
昨年は、特定保健用食品の分野で協会が事業者と取り組んできた疾病リスク低減表示トクホが表示の内容が定められているカルシウムと葉酸以外で初めて許可を受けました。
一方で、行き過ぎた広告が発端となり、景品表示法の措置命令を受けてさらに科学的根拠まで影響が及び、約90件の機能性表示食品の届出が撤回されるという事態が発生しております。
このように健食業界を取り巻く環境が変化するなか、本年度は科学的根拠に基づき、消費者に分かりやすく、事業者がStepUpに魅力を感じる一体化した制度改革を目指した提言を協会として発信していきたいと考えております。
また、国内製造の高品質の健康食品の輸出促進を目指して、関連する法規制や必要な認証などについての調査研究に取り組んでまいります。
個別の事業に目を向けますと、2024年には、厚生労働省において「平成17年通知」や「平成14年通知」の改正が予定されており、健康食品の安全性や品質確保が、より重要になってくると考えられますので、健康食品の安全性と製品品質の確保を行い、健康食品全体の底上げに力を注いでまいります。
特定保健用食品の分野では、疾病リスク低減表示の新たな保健の用途での申請支援を進めるとともに、生活習慣病に関わる既許可表示を基にしたEUの表示のような2段階式の疾病リスク低減表示の可能性についても検討を進めてまいります。加えて、国の健康施策である特定健診後の保健指導に、トクホを活用するために作成した教材を用い、新たなトクホ普及活動を展開いたします。
機能性表示食品分野は、昨年、ガイドライン改正があり、PRISMA2020へ対応が求められましたので、事業者の皆様がこれに円滑に対応できるよう、各種セミナーの開催やPRISMA2020対応支援事業を行ってまいります。
当協会としましては、あとから「しまった!」とならないように、引き続き「研究レビューの作成代行」、「届出資料の事前点検」、「届出・広告相談」、「届出後の分析実施状況公開」等の届出支援事業を行ってまいります。加えて広告表現の適正化に向けた「機能性表示食品広告審査会」も粛々と取り組んでまいります。
特別用途食品については、「特別用途食品制度の活用に関する研究会」とともに制度見直しの要望書を提出したことにより、昨年5月に制度運用改善を含む通知改正が実現しましたが、本年は特別用途食品(病者用・えん下困難者用)の広告自主基準の策定や愛称等を検討します。
このような事業に加え、健康食品などに関する国内外の有用情報発信や、社員研修やスキルアップのための各種セミナー、フリーアクセスのオンラインジャーナルである「健康・栄養食品研究」の発刊を引続き行ってまいります。
また、消費者の方々に健康食品を適切にお使い頂けるよう指導士の養成事業や、新規領域である「フレイル予防」についても、(一財)医療経済研究・社会保険福祉協会が設置を目指す「フレイル予防推進会議(仮称)」に関する活動に協力してまいります。
昨年、5年ぶりに開催したトップセミナーにつきましては、学識経験者や同業者と意見交換ができ有意義であったとの評価をいただきましたので、引き続き今年度も内容の充実を図り9月を目途に実施を計画しておりますので是非ご参加ください。
当協会は、業界の健全な発展のために行政との信頼のパイプ役を目指し活動してまいりますので、関係各位の変わらぬご支援ご協力をお願いいたします。