薬機法改正で報告書 課徴金制度導入へ~厚労省の部会
<健康食品の違法広告も対象に>
医薬品医療機器等法の見直しを検討してきた厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会は25日、薬機法の制度改正に関する報告書を取りまとめ、公表した。報告書を受けて、厚労省は来春に開かれる通常国会への法案提出を目指す。
改正のポイントは、(1)革新的な医薬品・医療機器への迅速なアクセス確保、安全対策の充実、(2)医薬品・医療機器の適切な製造・流通・販売を確保する仕組みの充実、(3)薬局・薬剤師のあり方、医薬品の安全な入手など。
ガバナンスの強化も重視し、違法行為を抑制することを目的に、課徴金制度を導入する方針が示された。違法な広告によって利益を得る行為は、薬機法上の業許可を持たない事業者によっても行われ、現行の行政処分では抑止効果が期待できないと指摘。このため、薬機法に課徴金制度を設けて、業許可を持たない事業者に対する実効性のある取り締まりを実施する考えだ。
課徴金制度は、医薬品の研究データを改ざんして販売促進ツールに利用する事例、行き過ぎた表現による販売促進ツールを使用する事例などに適用される。健康食品やサプリメントについて医薬品的な効能効果を標ぼうし、広告・販売を行った場合も課徴金納付命令の対象となる。
課徴金制度の要件として、次の施策を挙げた。
・ほかの行政処分が機能している場合、課徴金納付命令を行わないことができるとする除外規定を設ける。
・不当な経済的利得が一定規模以上のケースを課徴金納付命令の対象とする。
・課徴金額の算定は、違法行為の対象製品の売上額に一定の算定率を乗じる方式を採用する。
・納付命令の権限は、国と都道府県に付与する。
景品表示法の課徴金納付命令権限が国のみに付与されていることに対し、薬機法の課徴金納付命令は都道府県にも付与される方向にある。
また、違法な広告に対し、訂正広告を命じる措置命令を検討する方針も示した。