花王、ヘアケア新素材を開発 潤滑性と耐久性を両立するハイドロゲル
花王㈱(東京都中央区、長谷部佳宏社長)ヘアケア研究所・マテリアルサイエンス研究所・解析科学研究所はこのほど、洗髪などの物理的摩擦にも強いハイドロゲルの新素材を開発したと発表した。現在トリートメントに応用しており、今後は、より幅広いヘアケア商品の開発などに活用する予定だという。
今回の研究成果は、第74回コロイドおよび界面化学討論会(9月12~15日・長野県)と、第71回レオロジー討論会(10月19~20日・愛媛県)で発表した。
同社では、「疑似キューティクル」となるような、生活中の擦れや洗髪に強くて高潤滑性を持つ素材の開発を目指し、これまでの毛髪と素材研究の知見を生かした新しい視点での検討を行った。
素材として着目したのが、柔らかくてつるつる滑る機能を持ち化粧品の感触調整などに使用される「ハイドロゲル」。ハイドロゲルは、寒天やゼリーのような水を含んだ高分子物質の総称で、架橋と呼ばれる網目状のネットワーク構造によって水分を保持している。しかし、多くのハイドロゲルは物理的な摩擦に弱く、毛髪に使用した場合は洗髪によって徐々に流れ落ちてしまうため、耐久性の改善が必要だった。
そこで同社は、強いネットワーク構造を持つ耐久性に優れた新しいハイドロゲルの開発を試みた。検討の結果、ポリクオタニウム-52(PQ-52)とアルギン酸Naからなるハイドロゲルにポリエチレングリコール(PEG)を加えることで、ハイドロゲル中に2種類のネットワークを形成できることを見出した。
また今回の新素材は、材料を独自の方法で混合するだけのシンプルな工程で作製できるため、ヘアケア商品への応用が容易だと考えられるという。同社では。今後、同知見をトリートメントやヘアカラーリング製品などの開発に生かすとしている。