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自律神経の活動測定試験を受託(前) ラットの自律神経活動で生理機能変化を予想

 大正元年創業の食品会社㈱ヤマホ(京都市右京区、堀井貴弘社長)。京都府から「京都老舗の会」として表彰を受けている老舗だ。各種調味料の製造に関しては多くの人が知るところだが、ライフサイエンス事業として、機能性食品や香料の機能性測定事業を行っていることを知る人は少ない。事業の概要について、同社専務取締役の堀井裕子氏に話を聞いた。

 ㈱ヤマホ(京都市右京区、堀井貴弘社長)は、堀井商店として大正元年(1912年)に京都市上京区で創業。米菓用たまりや各種調味料の製造を主力とする老舗である。創立110周年を迎えた2022年には、「京都老舗の会」として京都府に表彰されている。堅実に家業の理念を守り、伝統の技術や商法を継承することにより、他の企業の模範となってきた事業者のみに与えられる誉れ高い称号である。現社長の堀井貴弘氏は同社の4代目の社長に当たる。

 1979年には、独自に開発した食品用接着剤「アラレラック」で特許を取得した。同接着剤は、例えば、せんべいにザラメを接着するように、異なる食品や素材同士を「一つに接着する」ことで、食品の新たな付加価値を生み出す画期的発明として注目された。
2015年には同社の三重工場が、三重県食品HACCP手法認定制度において第14号認定、23年にはJFS-B認証を取得している。

 また最近では、近年の健康志向から、プロテイン商品の味付けフレーバーのオーダーメイドや、機能性を持たせたプロテインの開発製造など小ロットから対応している。

 以上、述べてきたとおり、食品関連事業者として長きにわたり社会貢献を果たしてきた同社だが、ライフサイエンス事業を手掛けていることはあまり知られていない。
実は同社は、2007年にベンチャー企業㈱ANBAS(大阪市北区)を設立した大阪大学名誉教授の永井克也氏(=写真)の教えの下で、国内の製薬会社や食品会社、化粧品会社の依頼を受けて、自律神経活動測定実験の受託を続けている。同事業を運営しているのが、堀井社長の姉に当たる専務取締役・堀井裕子氏である。

 堀井氏は、大阪大学蛋白質研究所において、永井名誉教授(1980年4月~2006年3月まで研究所在籍)の下で研究を行ってきた。同研究室では、自律神経とそれに伴う体内恒常性(ホメオスタシス)維持機構の研究、自律神経の測定方法、それに伴う食品や医薬品、アロマ製品などの機能性の研究を行ってきた。
 その技術を活用し、自律神経を測定することで、それに伴う生理変化を捉えてサプリメント、化粧品などの機能性のメカニズムを解明する。

 同氏は次のように話す。
 「人間などの哺乳類は、体内外の環境変化によって体内恒常性を維持しているが、自律神経系(交感神経と副交感神経)と内分泌系(ホルモンや局所での体液の系)が協調して維持している。2007年に創設した㈱ANBAS(大阪府)では、自律神経の測定を行っているが、なぜ自律神経を測定するのかというのは、ダイエット食品や抗血糖・抗血圧などをうたう機能性食品や飲み物などを実際に飲んだ上で生理変化を調べるには時間とコストがかかり過ぎる。また、どのようなメカニズムで変化が起きているのかが、人の試験ではよく見えないという難点もある。
 そこでラットを使って同じように、飲み物・食べ物などを投与、匂いを刺激し、効果を引き出す自律神経を測定することによって、どのようなメカニズムでその生理変化が起こっているかという点が容易に分かる」
 つまり、薬品や食品、化粧品などの原料をラットに投与、塗布、吸引(香り刺激を含む)することで刺激を受けた自律神経活動の変化を測定し、それらの効果を同定する。この方法は、故・新潟大学名誉教授の新島旭氏が開発したものだが、技術的に極めて難しく、国内外でこの技術を保持する受託会社はヤマホ・ANBAS以外に存在しない。

 それでは具体的に見ていこう。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
所在地:京都市右京区太秦一ノ井町17-4(本社)
TEL:075-406-7430
所在地:三重県伊賀市西条川久保183(三重工場)
TEL:0595-23-4300
URL:http://yamaho.kyoto
E-mail:info@yamaho.kyoto
事業内容:食品関連事業、ライフサイエンス事業

【聞き手・文:田代 宏】

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