1. HOME
  2. 特集
  3. 膣内環境を整えるユニークな乳酸菌 【フェムテック特集】UREX、じわりと増える配合製品

膣内環境を整えるユニークな乳酸菌 【フェムテック特集】UREX、じわりと増える配合製品

 フェムテックではないと、帝人㈱(東京都千代田区)のヘルスケア新事業部門ビオリエ事業部の担当者は語る。ただ、女性特有の悩みに対するオープンなソリューションであるという特徴を知れば、紛れもなくそれに類するものであることが分かる。プロバイオティクスメーカーの世界的大手クリスチャン・ハンセン社(デンマーク)が開発し、日本では帝人が主にサプリメント用途での原材料販売を手掛ける乳酸菌UREX。ここにきて配合製品がじわりと増えている。

「膣内環境を整え、膣内の調子を整える」

 膣内環境を良好にし、膣内の調子を整える──こうしたヘルスクレームを行うサプリメント形状の機能性表示食品の届出が2021年以降、続いている。「腸内環境」ではなく「膣内環境」。これまでに6,000以上の製品が消費者庁に届け出されている機能性表示食品において、他に類例を見ないヘルスクレームだ。

 届出製品数は2月末時点で4件と1ケタ台にとどまるものの、届け出た企業の顔ぶれがユニーク。調剤薬局事業を展開する㈱雄飛堂(東京都渋谷区)、化粧品や健康食品の販売を手掛ける㈱KIYORA(同港区)、一般用医薬品のほか医療医薬品の製薬メーカー、わかもと製薬㈱(同中央区)──など4社が現在までに届け出ている。今後、段階的に届出件数は積み上がっていくと帝人では見る。

 このヘルスクレームは、帝人が20年、サプリメントおよび乳児用食品向けプロバイオティクスとして原材料供給を始めた乳酸菌UREXを配合しているから出来る。正確に言うと、UREXを構成する、乳酸菌GR-1(Lactobacillus rhamnosus)および乳酸菌RC-14(Lactobacillus reuteri)を機能性関与成分としているからこそ出来るものだ。

 腸と同様に膣にも常在菌が存在し、膣内細菌叢(膣内フローラ)を形成している。経口摂取された乳酸菌UREX(乳酸菌GR-1および乳酸菌RC-14)は、腸を経由して膣まで届き、膣内で働く。具体的には、経口から摂取された両乳酸菌が腸に存在する胆汁酸などの影響を受けず膣に到達後、膣内に長くとどまり増殖しながら乳酸を産生することで、膣内の環境をアルカリ性から酸性に傾かせる。これにより、膣内の悪玉菌の増殖を抑制するなどして膣内フローラのバランスを整える──作用メカニズムはそうした筋道だと考察されている。

 乳酸菌UREXを配合した機能性表示食品のサプリメントの主な摂取対象者としては、膣内細菌叢のニュージェント(Nugent)スコアが高め、かつ、細菌性膣症に罹患していない健常な成人女性が想定されている。ニュージェントスコアとは、産婦人科領域で用いられる膣内細菌叢(膣内フローラ)のバランスを示す指標のこと。膣内フローラが乱れることなどが原因となって生じとされ、女性のQOLの低下や不妊などにつながるといわれる、細菌性膣症の診断基準の1つとして利用される。それを主要アウトカムとするかたちで乳酸菌UREXの「膣内環境を良好にし、膣内の調子を整える」機能は検証された。

 要するにこのヘルスクレームは、ニュージェントスコアが高めではあるが、細菌性膣症と診断されるほどではない、健常な成人女性の乱れた膣内フローラのバランスを整える、という意味。乳酸菌UREXにはそうした機能のあることが、最終的に3つの文献が採択されたシステマティックレビーで報告されている。

「トレンドに乗らず、大切に育てる」

 帝人によると、乳酸菌UREXは2004年にカナダで初めて発売された。2007年には米国でNDI(New Dietary Ingredient。米FDAがダイエタリーサプリメント原材料の安全性を審査したもの)に登録され、現在までに日本を含む50以上の国・地域の女性に利用されている。

 日本市場の開拓はまだまだ始まったばかり。フェムテック・フェムケアに対する追い風が吹いてはいるが、「トレンドには乗らない」とビオリエ事業部の担当者は語る。婦人科領域の学識経験者らと連携し、女性にとって膣がいかに重要な臓器であるかの普及啓発活動も行いながら、乳酸菌UREXをじっくり育てていきたい考え。

【石川 太郎】

フェムテック特集 関連記事
更年期や月経の悩みケア、届出可能? やっぱりダメ?──森下竜一氏はこう考える
受託開発・製造の立場から見たフェムテック 「化粧品が先行、サプリはこれから」
大豆の機能性をフェムテックに生かす 補完医療からのアプローチも模索
ウェビナー通じて潜在ニーズを確信 睡眠の質向上とフェムケアの関係
新・セルフケア掲げて進める健康啓発 製品開発で得られた知見生かす
フェムケア対応素材を提案 ウェルネス事業と合わせて強化
フェムケアは日ごろの食生活から
南米果実由来のエストロゲン活性素材 アグアヘエキス、月経時不調ケアでエビデンス

TOPに戻る

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

LINK

掲載企業

INFORMATION

お知らせ