肌の弾力維持、届出が増加 対応素材も拡大中
肌の弾力を維持する。
一時は「絶対に無理」とまで業界関係者に言われていたヘルスクレームを届け出る機能性表示食品が増加している。このクレームに対応できる機能性関与成分も拡大傾向を見せている。
肌の弾力に関するヘルスクレームの届出を消費者庁が初めて公開したのは昨年の4月ごろ。第1弾の機能性関与成分となったのは魚由来低分子コラーゲンペプチドで、第1号届出者は江崎グリコ㈱(大阪市西淀川区、江崎勝久社長)。届け出たヘルスクレームは、「肌の水分量(潤い)と弾力性の低下を抑え、肌の健康に役立つ機能が報告されています」と、肌に対する2つの働きを同時に訴求するものだった。
その後あれよあれよという間に届出件数が増え、今月9日時点で計55件にまで拡大。うるおい(保湿)を訴求する届出に比べれば少数だが、「肌の健康」に対応する機能性表示食品の数を底上げする役割を果たしている。
「エビデンスがあろうがあるまいが『肌がぷるぷる』だとかの曖昧な表現が横行していたことを考えれば、消費者にとってもいいことだ」と業界関係者は話す。
これまでに届出が公開された機能性関与成分を見ると、美容食品素材の代表格であるコラーゲンペプチドをはじめ、サケ鼻軟骨由来プロテオグリカン、アスタキサンチン、GABA、ピセアタンノール、カツオ由来エラスチンペプチド──などがある。
このうち最も件数の多いのがGABAで31件(12月9日時点)、次いでコラーゲンペプチド(トリペプチド含む)が9件、アスタキサンチンが5件、プロテオグリカンが4件と続く。ちなみにアスタキサンチンは、「紫外線刺激から肌を保護するのを助ける」といったヘルスクレームでも届出件数が多い。
また、最も新しい機能性関与成分はエラスチンペプチドで、先月中旬に公開されたばかり。カツオ由来エラスチンの製造・販売を手掛ける原材料メーカーの林兼産業㈱(山口県下関市、中部哲二社長)が届け出た。
エラスチンは、コラーゲンと同様に、皮膚の真皮に多く含まれるタンパク質の一種として知られる。林兼産業は、表示する機能性の科学的根拠として研究レビューを届け出た。同社製品のユーザーらが今後、コラーゲンペプチドを追う形で届出に動く可能性もある。
40~50代女性にニーズ
肌の弾力維持のほか乾燥の緩和、紫外線ケアといった機能性を背景に、肌の健康をサポートする働きを訴求する機能性表示食品の届出件数は、現在までに450を超えているとみられる。届出全体のおよそ1割といったところだが、美容や肌ケアのカテゴリーは、サプリメント・健康食品を日常的に摂取している女性からのニーズが高い。
調査会社の矢野経済研究所が先月発表した「健康食品に関する消費者アンケート調査」。健康食品(サプリメント)を摂取している40~50代女性235人に摂取目的を尋ねたところ、「健康維持・増進」が59.1%でトップ。次いで「肌のハリ、シワ、シミへの対策」(31.5%)、「美容・アンチエイジング対策」(30.6%)と続いた。
より若い世代の20~30代女性(227人)でも、第3位(34.8%)に「美容・アンチエイジング対策」が入ったという。
【石川太郎】