筋肉・筋力 植物由来素材で同時に訴求へ
ニップンのマスリン酸 新たなRCT実施
植物由来の素材で筋肉に対する働きを訴求する。それが可能な機能性表示食品対応素材は限定的だがゼロではない。㈱ニップン(東京都千代田区、前鶴俊哉社長)が原材料販売を手掛けるトリテルペンの一種、マスリン酸がそれに当たる。由来はオリーブ果実。今後、筋肉と同時に筋力に対するダブルヘルスクレームをできるようになる可能性がある。現在、同社で論文投稿中だ。
植物性プロテインに植物由来のマスリン酸を組み合わせる。そんな提案も同社では進めている。マスリン酸を機能性関与成分にした機能性表示食品を、植物性プロテインをベースに開発することも不可能ではない。
同社はマスリン酸について、原材料販売とともに機能性表示食品の届出サポートも手掛ける。現在可能なヘルスクレームは次の通り。
「マスリン酸は筋肉に軽い負荷がかかる日常的な運動と併用することで、加齢によって衰える筋肉量を維持する機能があることが報告されています」。
軽い運動との併用で有効性
健康維持に不可欠な日常的な運動と組み合わせることに伴う機能であることがポイントだ。マスリン酸が筋肉量を維持させる作用メカニズムは、筋タンパク質合成の「司令塔」とも呼ばれるmTOR(タンパク質複合体)に働きかけることで、筋タンパクの合成を促進させるためだと考察されている。mTORは運動によっても活性化されるといわれる。また、マスリン酸には筋委縮予防機能も報告されており、プロテインとの組み合わせを考えても、それぞれ異なる作用メカニズムで筋肉の合成に働きかけることになる。
一方、同社では現在、マスリン酸の機能性に関する新たな論文を投稿中だ。健常者を対象にしたRCT(ランダム化比較試験、軽い運動との併用)を改めて実施し、ヘルスクレームの充実化と低用量化の実現可能性を検証。その結果を論文にまとめた。
既存の届出でマスリン酸の1日当たり必要摂取量は60mg。しかし新たなRCTでは、その半分量である30mgでも有効性の得られることを確かめた。具体的には、握力に対する有効性を確認。30mg、60mgのいずれの場合においてもプラセボ群との比較で握力変化量が有意に増加したという。
投稿中の論文は近く、受理されそうな見通し。それを受け、まずはニップンとして新たな届出を行う予定だ。現段階では検討しているにとどまるが、新たなヘルスクレームは、「日常的な運動と併用で年齢と共に低下する筋肉および筋力を維持」などといったダブルヘルスクレームが想定できるという。
「(マスリン酸として)1日あたり60mgという摂取量が、コストの面から大きな課題になっていました。30mgでも届出が可能になれば、ユーザーが大きく広がると見ています」と同社ヘルスケア事業部の担当者は話す。
研究レビューも実施した上での届出サポートのスタートは今秋からとなる見込みで、「機能性関与成分としてはまだまだ新規素材です。新しい素材を探していらっしゃるかたも少なくないですから、届出サポートを開始できるようになるまでの間、積極的な提案活動を進めていきます」という。
1つの素材で3つの機能
同社が原材料販売を手掛けるオリーブ果実マスリン酸は、オリーブから搾油するオリーブオイルの搾り粕を原材料にしたもの。オリーブ果実中のマスリン酸の含有量は0.05%程度とされており、そうした希少性のある成分を規格化(10%以上、または30%以上)したのが同素材の特長だ。
機能性に関しては、機能性表示食品として現在可能な運動との併用に伴う筋肉量に対する働き以外に、膝関節ケア、運動後の疲労や筋肉痛の軽減といった働きのあることがそれぞれヒト試験で示唆。1つの素材で3つの機能性を期待できる点も大きな特長となっている。
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