第3回健康食品試験法研究会開催 【2/13】試験法の具体案、今後のスケジュールなど確認へ
健康食品にプラセボ対照試験は適しているのか?健康食品試験法研究会(唐木英明代表)は2月13日午前、3回目の会合をオンラインで開催する。新たな試験法の具体案や今後の方針などについて議論する。
プラセボ対照試験に代わる新たな試験法を提案
研究会ではこれまで、症状が軽微で心因作用が有効な症状に使用することが多い健康食品にとって、プラセボ対照試験は適していない場合があるという薬理学からの指摘の下に、新たな試験法の提案を議論してきた。
プラセボ対照試験の原理は、薬物の効果は物質作用と心因作用と自然変化を加算したものであるという「相加仮説」であり、効果全体からプラセボの効果を差し引いたものを物質作用と想定している。多くの医薬品ではこの仮説が成り立っているが、鎮痛剤や抗うつ剤など症状が軽微で心因作用が有効な例では相加仮説が成立しないため、物質作用が検出できない。
このようなプラセボ対照試験の限界は、すでにBoussageon RやSawitzke ADらの総説で証明されている。このような問題点とその対応として、健康食品には無処置対照試験が適している可能性についての論文を同研究会の代表を務める唐木英明氏は『薬理と治療vol.50』(2022年12月号)で発表している。
無処置対照試験の可能性について議論
過去2回行われた研究会では、唐木代表がプラセボ対照試験の限界とその欠点を補うための無処置対照試験の可能性について説明。これに対して研究会のメンバーで議論を重ねてきた。
現行の基準を緩めて業界の負担を軽くするというのではなく、あくまで科学的にさらに有効な試験法について議論することを目的としている。
その意味では、「消費者の自主的かつ合理的な食品選択に資する」という「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の趣旨に沿うものと思われる。
無処置対照試験を適用する場合の具体案も
前回までは、無処置対照試験の必要性の他、その試験の客観性、公正・公平性の確保など、乗り越えるべき課題やそのための方法論などについて話し合われた。
具体的には、まずはプラセボの作成が困難な生鮮食品やヨーグルトなどについて適用してはどうか、次のステップとして無処置対照試験の適用範囲を広げる可能性を探ってはどうかなどの意見も出された。
唐木代表は「1カ月や2カ月で解決するような簡単な問題ではない。皆さんからご意見をいただきながら十分な検討を行い、できれば半年以内で何らかの答を出したい」と述べている。同研究会は現在、10人の科学者の他、7事業者・団体がオブザーバーとして参加している。
専門家チームを設置し課題収集へ
研究会では科学者から成る専門家チームを設置し、「プラセボ対照試験の不備に関する論文」、「機能性表示食品届出資料の分析・統計の不適切な使用例」、「実際の食品の試験で困った例」などの収集に取りかかる。
また、関係省庁への提案などについて具体的なスケジュールの調整に入る予定。次回開催からメディアにも傍聴を開放する。
問い合わせ先 E-mail:info@wellness-news.co.jp(健康食品試験法研究会事務局)
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