第2回霊感商法等検討会 今回から検討会のアーカイブ配信を開始
消費者庁は7日、第2回「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」(霊感商法等検討会)をオンラインで開催した。前回同様、YouTubeを通じてリアル配信した。
会議の冒頭、河野太郎消費者及び食品安全担当大臣は前回に続き、「この検討会には、境界を定めることなく自由に議論をしていただきたい。消費者庁はここまでだからというところで線を引くのではなく、必要とあらば消費者庁の担当するところを超えて、政府全体に対して、委員の皆様から提言いただけるならばいただいた上で、政府全体でどうしよう、そういう議論をお願いをしている。これはもう最初から変わっていない」と繰り返した。
また、「メディアの中には言葉尻1つを取り上げて、検討会でこうだああだみたいな報道をするところがあるが、そういう印象操作のようなことをやる報道については、私の方からこの報道は違っていますということをどんどん申し上げていかなければいかんかなと思っている」と述べ、そのようなメディアの切り取りを防ぐ意味でも、同検討会を一般に公開し、異例のスピード感を持って進めているのだと説明した。
さらに今回から、検討会開催後1週間は、消費者庁のホームページにアーカイブ掲載される。
会議では、消費者契約法と特定商取引法について事務局が概要を説明。その後、第1回検討会で宿題とされた事項について意見交換が行われた。
菅野志桜里委員は、カルト的な団体による違法な金銭的な搾取をどういうふうに予防救済するか、そのような違法な金銭的搾取を繰り返すカルト的な団体の根っこを絶つために、必要があれば解散命令に持っていき、税優遇などの特権的地位を取り上げるためにどうすればよいかを検討する必要があると主張。消費者契約を装った搾取の構造を根本的に解決するために、消費者庁が省庁の枠を超えて積極的に関与することを求めた。
同氏は各論として、霊感商法対策をどうするのか、霊感商法とは言えない献金搾取をどうするのか、こうした個別の搾取を繰り返す団体規制をどうするのかについて意見を述べた。
紀藤委員は、第1回検討会における主な宿題「相談対応に関する事項」について意見を述べた。「誰を当事者として捉えていくのか」という問題で、家族からは「どこか分からない団体に入っているようだ」という相談がある。名前の知られた団体だとすぐに分かるが、そうでない場合、調査は困難を極める。実際に調べていく中で、大金が持ち出されている場合もある。財産を保全したいという家族からの相談がある。1999年までは、準禁治産制度に「浪費」という規定があり財産の保全ができたが、2000年に個人の人権の観点から廃止された。これは法制度に関する事項にも関係するので、今後、各省庁の間で議論してほしい。さらに、カルト的な団体には宗教法人だけではなく、宗教団体、公益法人、株式会社、あるいは法人化していない団体などがある。一般の会社の場合、解散命令規定があるが、宗教法人の場合にそれが可能なのかどうか、今後、議論の中に加えてほしい。
ほかにも、消費者庁が配布した参考条文の中、消費者契約法4条3項の1~5号を省略している点を指摘し、消費者庁の職員が霊感商法を理解していない証左とした。特に5号の「健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり・・・」のくだりを引き、霊感商法では健康不安に付け込んで高麗人参茶を売りつけるという健康不安商法があると説明した。「少なくとも3号から6号までは検討事項として資料に上げておかないと委員全体の知識共有ができない」と注意した。
また、田浦道子委員は、消費者被害防止に向けた消費者教育の重要性を、芳野直子委員は消費者契約法をめぐる質問と意見を述べた。
検討会の後半は、個別事案の検討に入ったため非公開とされた。
【田代 宏】
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