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空間除菌商品に根拠なし、4社に措置命令 「密閉空間の試験は換気されている生活空間とは違う」(消費者庁)

 消費者庁は1月31日、二酸化塩素による空間除菌商品を販売する4社に対して措置命令を行ったと発表した。

 命令を受けたのは、興和㈱(愛知県名古屋市、三輪芳弘社長)の『ウイルス当番』、㈱中京医薬品(愛知県半田市、米津秀二社超)の『エアーマスク』、ピップ㈱(大阪市中央区、松浦由治社長)の『ウィルリセット』、㈱三和製作所(東京都江戸川区、小林広樹社長)の『クロッツ』の4商品。 
 いずれも二酸化塩素を使って室内空間や身の回りの空間に浮遊するウイルス細菌の除菌を標榜していたものの、それらの商品が表示している効果に関しては合理的な根拠が示されなかったために、不実証広告規制に基づき優良誤認表示との認定を受け、景品表示法違反で措置命令が発令された。

 消費者庁によれば、4社が提出した資料は特殊な密閉空間における二酸化塩素の濃度を示したもの。これら密閉空間での試験結果が、実際に商品が訴求している室内空間、換気などで空気が流れているリビングなどの実際の使用空間における効果を保証したものではなかったとしている。

 各社の商品形態は、中京医薬品の『エアーマスク』が身体装着型だったのを除けば、他は置き型か壁掛け型の商品。

 措置命令の発令日について消費者庁は、興和が1月30日、中京医薬品とピップが同29日、三和製作所が同26日としている。

 不当表示が行われた媒体は、三和製作所は商品パッケージのみ。興和とピップが商品パッケージと自社ウェブサイトによるものだったが、ピップは商品パッケージと自社ウェブサイトの他、インスタグラムにおいてインフルエンサーによる表示を行っていた。マーケティング支援会社の仲介で、指示を受けたインフルエンサーが「#ウィルリセット」、「#ウイルス対策」などと表示していたという。

 消費者庁は同日、消費者への注意喚起も行った。「空間除菌商品の広告表示に注意!!」とする啓発チラシの中で、「二酸化塩素を利用した空間除菌商品は換気、湿度等の影響を受けると考えられるため、仮に密閉空間で効果が認められたとしても、実際に使用される場所(家屋内の部屋、外出先等)では、表示どおりの効果が得られない可能性がありますのでご注意ください」と呼び掛けている。

 記者会見で、表示対策課の口ノ町上席景品・表示調査官は「あくまで表示されている効果に対して合理的根拠がないということで、(商品自体に)除菌効果がないと言っているのではない」と説明している。

 編集部の取材に対して三和製作所は、「措置命令を真摯に受け止め、再発防止に向けて消費者庁と協議を進める」と話している。

 興和は、顧客および関係者に謝罪するとした上で、これまでの経緯をおおよそ次のように述べている。「当社製品の発売に際しては、消費者庁に事前に相談を行うなど適切な表示に努めてきた。過去に類似した他社製品に措置命令が出されたことを受け、速やかに製品の表示を見直して改定した。また、消費者庁による調査が開始された時点で状況を重く受け止め、表示を改定した製品についても終売を決定し、新たな出荷は停止した。このような状況で措置命令に至ったことは誠に遺憾」とし、「今後の対応については、さまざまな選択肢を検討中」と説明している。

 また、ピップも顧客と関係者にお詫びするとした上で、「(措置命令を)真摯に受け止め、再発防止に努める。管理体制の一層の強化、誤解のない表示記載に努めていく」と述べている。中京医薬品は現在、ホームページで「景品表示法に基づく措置命令について」とするお詫びの告知を公式サイトに掲示している。取材に対して同社は、「商品は廃番とすることで決定している。防止策などに関しては、消費者庁の指導に従いながら、粛々と対応を進める方向で社内で検討している最中」との姿勢を示している。

【田代 宏】

(冒頭の画像:消費者庁の発表資料より)

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