特集・周年企業<日本生活協同組合連合会>
「コープ化粧品」が45周年、50周年に向けて若い層への認知拡大を図る
日本生活協同組合連合会(日本生協連)が1977年に発売を開始した「コープ化粧品」は現在、メイクアップ、ボディケアなどさまざまなラインアップを揃え、年間累計で220万人に愛用されるブランドとなっている。ロングセラーとなった理由や発売以来こだわってきたことなどを、第二商品本部、家庭用品部、家庭用品2グループの駒形文氏に聞いた。
5つのこだわりを貫く姿勢がロングセラーに
発売当時、価格面での消費者リサーチや商品自体の成分表示もほとんど行われていなかった化粧品。そんな中、コープ化粧品は消費者の声を元に商品開発するマーケットインのプロダクト方針、独自の厳しい基準で品質をチェック、成分などについてありのままに情報公開し、継続して購入しやすいよう適正価格を設定、そしてナチュラル志向に応える植物原料を生かした商品づくり等、5つのこだわりをもって商品化し、その姿勢を現在も維持している。特に消費者である組合員の声を商品開発に生かした点が当時としては画期的だった。
「スキンケアの基礎化粧品が最初に誕生し、そこから商品群が派生していき現行商品は9代目となります。2021年度の供給規模では49.2億円、220万人に利用されております。テレビCMなどプロモーションもせずに、宅配と店頭の宣伝だけでこれだけのご支持をいただいているのは、やはり生協の安全・安心や価格面などのこだわりが理解されているからこそ。固定ファンも多く、使用感の良さなどをクチコミで周囲の方に伝えてもらえていることも大きいと感じています」。
相互コミュニケーションを意識した商品開発
45周年を記念したプロモーションでは、まず投票によりコープ基礎の新たなデザインボトル案についてもデザイン人気投票を行い、結果、主な製造地である奈良にちなんだ和柄モチーフが選ばれ、こちらは6月から発売される。この4月からは全国の組合員からお気に入り商品を投票してもらう「コープ化粧品 総選挙2022」もウェブ投票にて開催(10月に結果発表)。また国産バラを使用したエイジングケアシリーズ「フリーリア」は今秋5年ぶりのリニューアルを予定している。
「さらに今年1月より累計出荷実績約240万個のロングセラー『CO・OPハンドクリーム』の45周年記念オリジナルパッケージ商品『CO・OPハンドクリームE』を期間限定販売しました。組合員からも『かわいい』と好評で自分用とプレゼント用に購入される方もいます」。
その一方で、現在のコープ化粧品の主要な購買層は60代以上のシニア層。しかし巣ごもり需要から若い層の加入も増えたことから、「化粧品事業も行っていることを30~40代にどのように認知を広め、実際の購入につなげるかが今後の大きなテーマ」と駒形氏は話す。「今年1月からインスタグラムの発信も始めました。地道にプロモーション活動することでお求めやすい価格と安心・安全な中身を実現していますので、まずは一度試してもらって、その感想をお聞きしたいと思っています。基礎からメイクアップ、ボディケアまで商品群も広がってきていますのでトータルで品揃えしているブランドとして、より多くの方に伝え、次の50周年につなげていければと考えています。くわえてSDG’sも意識した製造から販売までを行っていきます。たとえば包装プラフィルムを紙に変える、プラそのものを植物由来や再生プラに変えるなど、環境に配慮しつつ持続可能な実践も始めています」。
【聞き手・文:堂上 昌幸】
(冒頭の写真:1977年発売当時のコープ基礎化粧品)