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熟成ニンニク抽出液の有用性(前)
湧永製薬記者セミナーで前川尻氏が発表

 湧永製薬㈱(東京都新宿区、湧永寛仁社長)は2日、都内で開催した記者セミナーで、同社が取り扱う熟成ニンニク抽出液に関する学術報告を行った。
 同社学術・営業薬制部の前川尻真司氏は、「熟成ニンニク抽出液の有用性のまとめ」と題して、同抽出液の製法と成分のメカニズムについて解説。また、免疫・口腔・循環器系に対するエビデンスについて新知見を発表した。同社は60年以上の歳月をかけて、900報を超える論文、学会発表の実績を持つ。

熟成ニンニク抽出液だけが持つ独自の成分
 
 熟成ニンニク抽出液は、生ニンニクを同社独自の方法で2年間熟成させた成分。生ニンニクにはない「S-1-プロペニルシステイン(S1PC)」と呼ばれる独自の有用成分を含んでいる。同成分は、黒ニンニクにはわずかに含まれている程度。
 同成分は、ニンニクに含まれる「ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)」という酵素によって、ガンマグルタミエル-S-1-プロペニルシステイン(GS1PC)を基質として生成される。

免疫系に対するエビデンス

 免疫感染防御に関するバリア機能には、「皮膚」、「粘膜」、「常在細菌叢」の3段階があり、粘膜免疫の中に含まれるIgA抗体が鼻や軌道内、口腔内、腸管内に存在し、体内に侵入する病原体を排除している。
 同社では、マウスの脾臓リンパ球に生ニンニク、熟成ニンニク抽出液を加えて培養し、IgAの産生量を調べた結果、熟成ニンニク抽出液にはIgAの産生量を増やしたが、生ニンニクにはそういう作用はなかった。さらに成分の研究を行ったところ、IgAの産生量を増やした物質はS1PCであることが明らかになった。

口腔系に対するエビデンス

 口腔系に対するエビデンスについては、ヘブライ大学(イスラエル)のジョナサン・マン教授と共同研究を行った。4カ月間、熟成ニンニク抽出液を服用させたところ、歯肉炎の炎症症状と歯周の出血状態の予防に改善効果が認められた。さらに、アブラハム・ジニ教授との研究では、同抽出液を18カ月間の服用したところ、歯周炎に対して歯周ポケットの進行を抑制したという。

 また、そのメカニズムについて細胞実験で確認を行った。
 炎症性のサイトカインTNF-αを故意に炎症を起こさせた人の歯肉の上皮細胞に熟成ニンニク抽出液を添加して培養。その後、歯周病の悪化に伴って増加する接着因子ICAM-1を測定したところ、熟成ニンニク抽出液を添加した場合、発現量を抑制することが明らかとなった。その作用に関わっていたのがS1PCだった。

循環器系に対するエビデンス

 前川尻氏は、熟成ニンニク抽出液が最も多くのエビデンスを有しているのが循環系、血管系に対するエビデンスであるとし、米国UCLA医学部のブドフ教授との共同研究を紹介した。
冠動脈心臓に血を送る主な血管に疾患を有するか、または疾患のリスクが高い19人に熟成ニンニク抽出液を1年間服用させ、試験開始と服用終了後の冠動脈の石灰化の状態を調べた。
 熟成ニンニク抽出液を服用させなかった対照群では石灰化が進んだものの、同抽出液を服用させた冠動脈はこれに対して65%抑制したという。「すなわち、動脈硬化の進行を抑制したということが分かった」(前川尻氏)としている。

 さらに、オーストラリアのNational Institute of Integrative Medicineのカリン・リード博士との研究では、高血圧患者に降圧剤のみ、あるいは降圧剤と熟成ニンニク抽出液を12週間服用させて血圧の変化を調べたところ、降圧剤だけでは適正に血圧が管理できなかった患者20人に対して有意に血圧降下作用が認められたという。
 同博士のもう1つの研究は、コントロール不良の血圧患者58人に対し、それまでの治療に加えて熟成ニンニク抽出液を12週間併用させ、服用しなかった群との血中の炎症性のサイトカインTNF-αの量の変化を調べた。熟成ニンニク抽出液服用群ではTNF-αの上昇が認められなかったことから、同ニンニク抽出液が炎症性のサイトカインを抑えて、炎症を下げているという事実が明らかとなった。

 University of Santander(コロンビア)のロペス・ジャラミロ博士の研究も紹介した。
 メタボリック症候群と診断されて薬物治療を受けてない46人に熟成ニンニク抽出液を12週間服用させて、抗炎症性サイトカイン(アディポネクチン)の変化量を調べた。
 結果、熟成ニンニク抽出液を服用させなかった部分では、アディポネクチンの量が減少したが、熟成ニンニク抽出液を服用させた分は、アディポネクチンの量を上昇させるということが明らかとなり、同抽出液が炎症作用を防ぐ効果があるということが示された。

 最近の研究として、Lund University(スウェーデン)のサンドラ・リンドステット博士の研究成果を紹介した。
心血管疾患(動脈硬化)のリスクを持つ29人に対して、熟成ニンニク抽出液を12カ月間服用させ、血中のインターロイキン6(IL-6)の量の変化を調べたところ、熟成ニンニク抽出液はIL-6を減少させた。

 前川尻氏はまとめとして、「メタボリックドミノの上流でドミノ倒しを阻止することが病気になりにくい体作りには重要」と述べた。メタボリックシンドロームの進行を予防して自然治癒力を高めるものを同社では基礎薬と定義しているとし、この基礎薬として「熟成ニンニク抽出液が心身の健康を維持し、健康寿命を延ばす有益な働きがあることをこれからも継続的に明らかにしていきたい」と抱負を語った。

【田代 宏】

関連記事:熟成ニンニク抽出液の有用性(後)

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