景品表示法検討会へ意見書提出 消費者機構日本が確約手続の適用要件など、適切な運用求める
特定適格消費者団体の(特非)消費者機構日本(東京都千代田区、菅波睦子理事長)は16日、消費者庁が22日に開催する第10回景品表示法検討会に提出する意見書を公表した。「景品表示法検討会のとりまとめに向けた意見」として4点を提示した。
「確約手続について」として、①最初から消費者を誤解させて不利益な取引に誘引するような悪質性の重大な詐欺的事案については確約手続の対象から排除できるような制度設計の建付けを工夫すること、②例外を除き、確約計画の重要な中核要素として「自主返金」を位置づけること、③確約手続承認の手続過程に(特定)適格消費者団体を含む第三者から意見募集を行い承認された手続の内容を可能な限り公表すること。
「違反行為に対する抑止力の強化について」として、繰り返し違反行為に対する割増算定率の適用、売上額の推計規定、実質的な違反行為者と評価できる役員などに対しても景表法の対象要件となる供給主体性・表示主体性を認めること。
「特定適格消費者団体との連携について」として、行政処分に際して作成された書類を特定適格消費者団体に提供できるようにすること。
「表示の根拠に関する開示請求について」として、不当表示の優良誤認を立証するために、適格消費者団体に表示の根拠に関する開示請求権を与え、合わせて専門機関の協力を促進する規定を設けるべきなどとしている。
確約手続とは、意図せずに不当表示を行った事業者などに対する処分の軽減措置として同検討会で導入が検討されている司法取引のこと。2016年に景表法に課徴金制度が導入されて以来、「事件処理期間が長期化し、措置件数を増加させることができない」(消費者庁)などの理由から、事業者の自主的な取り組みの促進も図ることで不当表示の早期是正に取り組もうとの主旨により導入が見込まれている。
これに対して消費者機構日本は、悪質性の高い詐欺的事案に対する確約手続の適用について、一定の制限を設けるための制度設計を行うべきとしている。適切な制度運用に向けて、確約手続承認過程の見える化や、返金計画を重要な要素と位置付けて施行令・施行規則、ガイドラインなどによる対象事案の要件の明確化などを求めている。
また、同検討会での検討課題とされている、繰り返し違反行為者に対する課徴金の割り増し算定率の適用の必要性も主張している。
次回検討会は22日に開催される。前回の第9回検討会で「報告書骨子(案)」が示されている。