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消費者庁、第3回霊感商法検討会開催 「献金は契約か」「第三者による取消は可能か」議論

 消費者庁は15日、第3回「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」(霊感商法等検討会)を開催した。これまでの検討会で指摘された「寄附の位置付け」について、中央大学大学院法務研究科の宮下修一教授が報告した。

 「さい銭」、「献金」、「お布施」が契約に当たるかどうか。また、家族などの第三者が寄付行為を取り消すことができるかどうかについて、宮下教授はペットの葬儀をめぐる最高裁判所の判決を引き、「金額が明示されると収益事業性が高まり、契約であるとする認定が容易になるのではないか」と説明。ケースによっては、寄附(献金)も契約に当たるとの見解を示した。
 また、第三者による契約の取消権については、「民法上の取消権者は本人をベースにしている考え方。本人以外の者による取消しが認められる場合は、きわめて限定的」と述べた。ただし、宗教的な寄附をした者が、当該寄附をする際に自由な意思決定(=自己決定)ができる環境が存在して居なかった場合や、公序良俗違反にい当たる契約の場合は取消権を主張する余地もあるとした。

 これに対して菅野志桜里委員は、「契約の中核は拘束力にあり、献金の中核は双方に拘束力がないというところにあるとすれば、拘束力のない献金を拘束力のある契約と見ることは基本的に難しい」とし、「契約については消費者契約法を改正して網を広げる必要がある。献金については献金として新しく規制の網をかける必要がある」と持論を展開した。

 紀藤正樹委員は、宮下教授の報告を受けて民法学者の役割に言及した。「献金の性質についてきちんと書いたものがない。そのために裁判でぎりぎり争われるというのが実際の経過。それを考えると民法の学者が献金の性質に関する論文をオーソドックスなものとして書いていただけることは今後助かるし、行政の指標にもなる」と感謝の意を込めた。
 さらに、民法で献金が契約に当たるとしても、消費者契約法上の対象にならなければ取消の対象とはならないと指摘し、「それがどのようなケースなのか整理しておく必要がある」と述べた。同氏は経験上、関りを持った被害者が3年前の被害者だと比ゆ的に説明。つまり、被害が表面化し、被害者が相談に来るのは3年後のことになるとし、消費者契約法で取消権を行使することの限界を指摘した。具体的には、民法第90条(2)に「前段までの不安をあおる行為を利用して、本人が合理的に判断することができない事情にあることを分かりながらそれを利用すること」などの条文を追記する必要を主張した。

 他に、宗教法人の解散権について紀藤委員は、「霊感商法の場合は顕在化が難しい。最初の3年ぐらいは継続できる。過去の霊視商法やオウム真理教などの例でも同じで、顕在化した時にはのっぴきならない事態になっているというのが一般的な考え方」と説明。民民のルールでの解決は難しく、行政的な手続きの重要性は極めて重大」と、解散命令の手法について検討を要請した。

 同検討会の動画は消費者庁のYouTubeアーカイブで1週間公開中。

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【田代 宏】

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