消費者庁、機能性表示食品の届出GLとQ&Aを改正(前)
<軽症者データが使用できる領域を拡大、28日から施行>
消費者庁は26日、機能性表示食品の届出ガイドラインと質疑応答集(Q&A)を改正し、公表した。28日から施行する。
改正の最大のポイントは、機能性の根拠として軽症者データを使用できる領域を拡大したこと。「鼻目のアレルギー反応関係」、「中長期的な血清尿酸値関係」、「食後の血清尿酸値の上昇関係」の3領域の臨床試験で軽症者データの使用を認めた。これは「機能性表示食品における軽症者データの取り扱いに関する調査・検討事業」報告書を踏まえた対応。改正届出ガイドラインで、試験方法や評価指標、摂取期間、対象被験者、機能性の確認方法などを説明している。
これまで例外的に軽症者データを使用できたのは、「コレステロール関係」、「中長期的な血中中性脂肪関係」、「食後の血中中性脂肪の上昇関係」、「血圧関係」、「食後の血糖上昇関係」、「体脂肪関係」、「整腸関係」の7領域に限られていた。これらは特定保健用食品(トクホ)制度のルールに合わせたものだった。今回の改正により、トクホ制度では認められていない3領域が追加され、軽症者データを使用できるのは計10領域に拡大された。
改正届出ガイドラインでは、追加した3領域を表示する場合に実施する臨床試験の被験者を規定。「鼻目のアレルギー反応関係」については、健常者を「鼻目のアレルギー反応を有し、かつ試験前と試験期間中にアレルギー治療薬を摂取していない者」、軽症者を「(同)アレルギー治療薬を時々摂取している者」と定めた。治療薬を常用している者は対象外となる。
「中長期的な血清尿酸値関係」と「食後の血清尿酸値の上昇関係」については、健常者を「血清尿酸値が7.0mg/dL以下の者」、軽症者を「(同)7.1~7.9mg/dLの者」と定めた。
3領域とも、試験方法は原則としてランダム化比較試験(RCT)。機能性は「健常者」または「健常者と軽症者の全体」で確認し、有意水準を5%に設定した。ただし、「健常者と軽症者の全体」で確認する場合は、「被験者におおむね半数以上の健常者が含まれる」ことが条件となる。「おおむね半数以上」とは、健常者数が被験者の半数以上であることを指す。研究レビューの場合は、健常者数が半数をわずかに割っていてもデータとして使用できる。
また、「鼻目のアレルギー反応関係」の評価指標は、「鼻目症状」と「日常生活の支障度」としている。
<「認知機能」ではMCIも健常者扱いに>
一方、消費者庁の調査・検討事業の対象となった「認知機能領域」については、軽症者データの使用を認めないこととした。改正された質疑応答集で、「加齢に伴う認知機能の低下」を表示する場合に行う臨床試験の被験者について、「原則40歳以上の健常者」と説明。ただし、40歳未満の者が含まれていても、加齢に伴う認知機能の低下が確認できれば、データを使用できるという考え方を示した。一方、30代と60代を対象とし、平均40歳以上とするような手法は認めない。また、原則40歳以上の軽度認知障害(MCI)の者も、健常者に含めても差し支えないとしている。
評価指標は、「認知機能」と「生活の質(QOL)」。機能性は健常者全体で確認し、有意水準を5%に設定した。
(つづく)