消費者庁、機能性表示食品「事後チェック指針」を策定(後)
【解説】
機能性表示食品の事後チェック指針は、制度開始からの5年間で浮かび上がった問題点を踏まえて策定された。HMBカルシウム配合製品の届出撤回や、葛の花由来イソフラボン配合製品の景表法違反事件をはじめ、これまでの疑義・事件で判明した点が、事後チェック指針に反映されている。
業界内では、届出ガイドラインに対し、特にサイエンスに疎い事業者から「曖昧な部分があり、わかりにくい」という声が聞かれる。「どのような広告を行うと、行政処分の対象になるのかを知りたい」との要望もある。そうした点について事後チェック指針は、多数のNG事例を挙げることで、届出ガイドラインや「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」を補完している。
消費者庁が業界団体に要請した取り組みも進められている。業界が設置する「第三者機関」は、複数のアカデミアで組織する。業界団体(4団体)が運営し、消費者庁は一切関与しない。届出資料について消費者庁から指摘を受けた場合、届出事業者は「第三者機関」に判定を依頼するという選択肢が増える。「第三者機関」を活用するかどうかは、個々の届出事業者が判断することになる。
消費者庁は、「第三者機関」が公平で客観的なジャッジを行うことが可能ならば、その判定結果を尊重する方針を示している。ただし、最終的な判断は消費者庁が行う。
また、機能性表示の科学的根拠について、新規成分の場合には、消費者庁のセカンドオピニオン事業によってスクリーニングをかける方向にある。一方、既存成分で消費者庁と届出事業者が対立した場合は、従来の対応方法に加え、前述したように届出事業者が「第三者機関」に判定を依頼する選択肢もある。
科学的根拠や広告・表示の相談受付については、これまでにも各業界団体で実施されてきた。科学的根拠については、(公財)日本健康・栄養食品協会(JHNFA)と日本抗加齢協会が相談窓口を整備。広告・表示については、JHNFAと(公社)日本通信販売協会(JADMA)が相談窓口を設ける。
(了)