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消費者庁、ウェブ誇大広告112社113商品に改善要請

 消費者庁は5日、インターネットで販売する112事業者113商品の表示について、健康増進法第65条1項の規定に違反する恐れがあるとし、表示の改善要請を行ったと発表した。
 監視期間は7月~9月、ロボット型全文検索システムを用いて検索キーワードによる無作為検索の上、商品サイトを目視で確認した。検索ワードは、「コロナウイルス」、「熱中症」、「免疫力」、「不眠」、「デトックス」、「ダイエット」などで、疾病の治療・予防、身体組織機能の増強・増進、身体の美化、容貌の変化に効果があるかのような表現を対象としている。

 対象となった事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者にも表示の適正化について協力を要請したという。

 改善を求めた113商品の内訳は、いわゆる健康食品(カプセル・錠剤・顆粒状等)93商品、加工食品(農水産加工品・畜産加工品・水産加工品)9商品、飲料(茶・コーヒー・ココア調製品・酒類等)11商品で、健康食品が最も多かった。

 いわゆる健康食品では、コロナウイルス対策、ウイルス抑制、抗ウイルス、抗菌作用、免疫力向上・強化、免疫機能活性化など、コロナ禍における社会情勢を強く反映している。

 昨年度の改善要請件数は278事業者337商品。4月~6月が93事業者107商品で、全て改善されている。

※健康増進法第65条(誇大表示の禁止)
何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他内閣府令で定める事項(次条第三項において「健康保持増進効果等」という。)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

【解説】
健康増進法第65条の規定に違反して表示を続けると、国または都道府県から勧告措置を受けることになる。さらに勧告に従わない場合は勧告に従うように命令を受けることになる。
同法65条に示されている「何人も」の定義については、「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(平成28 年6月30 日全部改定)に次のとおり記されている。

第3景品表示法及び健康増進法について
3規制の対象となる者
(2)健康増進法の規制の対象となる者
虚偽誇大表示を禁止している健康増進法第 65条第1項は、景品表示法とは異なり、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定めている。そのため、「食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をする者」であれば規制の対象となり、食品の製造業者、販売業者等に何ら限定されるものではない。したがって、例えば、新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社等の広告媒体事業者のみならず、これら広告媒体事業者に対して広告の仲介・取次ぎをする広告代理店、サービスプロバイダー(以下、これらを総称して「広告媒体事業者等」という。)も同項の規制の対象となり得る。
もっとも、虚偽誇大表示について第一義的に規制の対象となるのは健康食品の製造業者、販売業者であるから、直ちに、広告媒体事業者等に対して健康増進法に基づく措置をとることはない。しかしながら、当該表示の内容が虚偽誇大なものであることを予見し、又は容易に予見し得た場合等特別な事情がある場合には、健康増進法に基づく措置をとることがある。したがって、例えば、「本商品を摂取するだけで、医者に行かなくともガンが治る!」、「本商品を摂取するだけで、運動や食事制限をすることなく劇的に痩せる!」など、表示内容から明らかに虚偽誇大なものであると疑うべき特段の事情がある場合には、表示内容の決定に関与した広告媒体事業者等に対しても健康増進法に基づく措置をとることがある。

(3)表示をした事業者
景品表示法及び健康増進法の規制の対象となるのは、表示をした事業者である。表示をした事業者とは、表示内容の決定に関与した事業者であり、①自ら又は他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者のみならず、②他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者、➂他の事業者にその決定を委ねた事業者も含まれる。このうち、②の「他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者」とは、他の事業者が決定したあるいは決定する表示内容についてその事業者から説明を受けてこれを了承しその表示を自己の表示とすることを了承した事業者をいい、また、③の「他の事業者にその決定を委ねた事業者」とは、自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず他の事業者に表示内容の決定を任せた事業者をいう。
近年、インターネットを用いた広告手法の一つであるアフィリイトプログラムを用いて、アフィリエイターが、アフィリエイトサイトにおいて、広告主の販売する健康食品について虚偽誇大表示等に当たる内容を掲載することがある。このようなアフィリエイトサイト上の表示についても、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む。)には、広告主は景品表示法及び健康増進法上の措置を受けるべき事業者に当たる。アフィリエイターやアフィリエイトサービスプロバイダーは、アフィリエイトプログラムの対象となる商品を自ら供給する者ではないため、景品表示法上の措置を受けるべき事業者には当たらないが、表示内容の決定に関与している場合には、「何人も」虚偽誇大表示をしてはならないと定める健康増進法上の措置を受けるべき者に該当し得る。

消費者庁は来年度、165億6,000万円の予算概算要求を行っているが、内訳は「AI によるインターネット上の不当表示監視事業」1,000万円、「ターゲティング注意喚起事業」4,000万円、「デジタルフォレンジック調査事業」4,000万円。
また、消費者裁判手続きのIT化や消費者と特定適格消費者団体との間の手続きのIT化事業に対して6,000万円を当てている。

以上の動きから、消費者庁は今後ますますネット広告の監視を強めると共に、最近活発化する適格消費者団体などとの連携を強める意向ではないか。健康食品関連事業者は、行政指導だけではなく、今後はこのような消費者団体からの突き上げに対しても警戒する必要が増すだろう。

【田代 宏】

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