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消費者庁、「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」開催

 消費者庁は24日、第1回「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」をウェブによるオンライン形式で開催した。
 一橋大学大学院法学研究科教授の山本和彦座長を中心に、消費者支援団体や法曹界の専門家9人が検討委員として出席。
 井上信治内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)は冒頭の挨拶で、「本制度は消費者保護だけでなく、健全な市場の発展や公正な競争を促す目的から施行された。制度がより広く認知され、特定適格消費者団体による活動がさらに活発となるよう、さまざまな課題に対する議論を深めてほしい」と述べた。

 消費者被害の回復のために設けられた制度では、消費者団体が消費者に代わって事業者に対して訴訟などをすることができる「消費者団体訴訟制度」があるが、それに加えて2016年10月から施行されたのが、消費者を救済する新たな被害回復制度の消費者裁判手続特例法だ。
 これにより、内閣総理大臣から認定を受けた「特定適格消費者団体」は、消費者の財産的被害の集団的な回復を図る民事裁判の手続きを行うことが可能となった。その後4年が経過したが、今回の検討会では同制度がどのように機能しているかを中心に話し合われ、制度の効果をさらに上げるための活発な意見交換が行われた。

 これまで特定適格消費者団体としては3つの団体が認定され、5事業者に対して共通義務確認の訴えが提起されている。そのうち、最初の事案については特定適格消費者団体の請求を認容する判決が確定し、簡易確定手続が開始されるなど、同制度は被害回復消費者被害の救済に一定の役割を果たしている。
 しかし、「この制度がどのように利用され、どのように機能しているのかを判断するには、特定適格消費者団体の活動をつぶさにヒアリングする必要がある」、「特例法は民事訴訟の特例として設計されたが、実績を見ると訴訟件数はわずかで訴訟団体も限られている。消費者が十分に保護されて被害回復が行われているかを検証する必要がある」など、委員から現状では制度施行による効果が十分に発揮されていないとの認識が示された。 さらに、消費者団体からの相談申し出の状況は1.4%にとどまることから、「ファーストステップとして消費者団体に行きつくことが消費者メリットとなる。そのための方策を検討することも検討すべき」との意見も出された。

 山本座長は「第1回ということで、大きな視点からこの制度を検証しようと試み、団体の役割と社会的な役割の可能性、ファイナンスの大切さなどの意見が出た。今後の議論にしっかりとつなげていきたい」と語り、今回の検討会のまとめとした。

 特例法適用外ではあるが、食品業界でも「葛の花由来イソフラボン」を配合した機能性表示食品の販売事業者への被害回復が行われたことは記憶に新しい。同法でも今後、機能性表示食品をめぐる事案が消費者団体に取り上げられることも想定しておきたい。

【堂上昌幸】

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