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消費者庁、「がん」予防などをうたう4社に措置命令

 消費者庁は29日と30日、水素水生成器の販売・レンタルサービスの提供事業者4社に対して、措置命令を下した。

 対象となったのは、水素水生成器の販売とレンタルサービスを行っていた㈱ドクターズチョイス(東京都千代田区、山本明男社長)と、㈱シンアイ産業(沖縄県浦添市、大城卓巳社長)、水素水生成器とウォーターサーバーの販売、レンタルサービスを行っていた㈱アイ・ティー・ウェブジャパン(東京都大田区、岡村良社長)、水素水生成器を販売していた東証一部上場企業でダスキン代理店の最大手として知られ、㈱JIMOSをグループ傘下に置く㈱ナック(東京都新宿区、吉村寛社長)の4社。

 ドクターズチョイスは自社ウェブサイトに、「生成された水素水を摂取することで体内の悪玉活性酸素が排除され、老化防止効果、がんなどのさまざまな疾病の予防効果、シミやくすみを改善する美肌効果、筋肉疲労軽減効果が得られる」かのような表示をしていた。
 シンアイ産業は自社ウェブサイトに、生成された水素水を摂取することで「体内の活性酸素が中和され、疲労回復効果、老化防止効果、肌荒れ、アトピー性皮膚炎の改善効果などが得られる」かのよう表示を行っていた。

 アイ・ティー・ウェブジャパンは、㈱楽楽エージェントのウェブサイトに生成された水素水を摂取することで、「体内の活性酸素が無害化され、肌のたるみ、シミやシワといった老化防止効果が得られる」かのように示す表示をしていた。
 ナックは、自社ウェブサイトに、生成された水素水を摂取することで「体内の活性酸素が除去され、シミやシワ等の老化の防止効果、生活習慣病の予防効果、炎症やアレルギー症状の抑制効果、脂質代謝の改善効果、がん、糖尿病、脳神経疾患などの疾病の予防効果が得られる」かのような、表示を行っていた。
 いずれも、医薬品医療機器等法に抵触する恐れのある表示を行っていたとされている。
 消費者庁は、これらの表示が景品表示法第5条第1号「優良誤認」に該当するとし、同法第7条1項に基づき措置命令を行った。
 今後、ドクターズチョイスとシンアイ産業は、景表法に違反した旨を一般消費者に周知徹底し、役員や従業員に再発防止策を徹底させなければならない。アイ・ティー・ウェブジャパンとナックは、すでに日刊紙の広告欄に社告を掲載していることから、役員や従業員に再発防止策を徹底させなければならないとした。

 ドクターズチョイスの中村克常務は2017年3月3日、千代田薬品工業㈱の代表を務めていた際、同社が水素サプリでダイエット系の違法表示を行い措置命令を受けている。それについて同氏は、当時代表だったにもかかわらず、「直接担当しておらず、詳しいことは分からない」と答えている。今回の件については、「すでに終売しており、サイトも削除している。今後の対応は現在検討中」とした。アイ・ティー・ウェブジャパンとナックはいずれも、社内のチェック不備が原因だとして、現在、再発防止に向けて取り組んでいるとしている。(ナックは)東証一部上場企業にしては、じつにお粗末な社内体制としか言いようがない。

 水素水は2013年までに600億円規模の市場を形成しているとされていたが、産経新聞の報道をきっかけに週刊文春との間に水素論争が勃発。その後、国立健康・栄養研究所による人に対する効果はないとの見解が示された。
 さらに追い打ちをかけるように、(独)国民生活センターが「水素水」を対象とした商品テストの結果を発表。容器入り水素水(10銘柄)と水素水生成器(9銘柄)を対象に商品テストを実施した結果、商品ラベルに「充填時」や「出荷時」の濃度を記載していた5銘柄のうち、3銘柄で測定値が表示値を下回ったとし、PET容器の2銘柄については、溶存水素が検出されなかったことを明らかにした。
 とどめを刺したのが消費者庁の措置命令である。水素水や水素サプリメントを販売する千代田薬品工業㈱を含む3社に対し、景品表示法に基づく措置命令が出て、水素水市場は一気に縮小、多くの企業が市場から撤退を余儀なくされた。九州の大手通販メーカーなどは高濃度水素水を発売後、主力商品に次ぐ成長を見せていたものの、同品に頼り過ぎたあまり、当時のダメージを長く引きずらざるを得なかった。そして4年を経た今、水素水(サプリ)はウォーターサーバーという別の形で世の中を騒がせることになった。

【藤田 勇一】

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