消費者委員会、ネット上のプロファイリングと消費者保護を議論
消費者委員会は8日、「デジタル取引における消費者保護」のあり方を検討するため、専門家からヒアリングを行った。
慶応義塾大学法科大学院の山本龍彦教授は、インターネット上での利用が進展しているプロファイリングと消費者保護について、化粧品や健康食品の販売会社の事例を挙げながら説明した。
化粧品販売の事例によると、女性はうつ状態のときに化粧品の購入傾向が強まるという統計調査に基づき、販売会社Yはスマートフォンのユーザーである消費者Xの行動記録をネットワーク上で収集し、性別・年齢・職業・精神状態などについてプロファイリングを実施。Xが化粧品の購入者層に該当し、現在うつ状態にあると予測されたため、Xに対して化粧品のネット広告を配信した。
また、健康食品販売の事例によると、販売会社Yは、消費者Xのネット上の閲覧記録や行動履歴などを収集し、プロファイリングからXがメタボを気にする30代男性であることを把握。Yはインターネット広告会社Zに、同社のポータルサイト上で、一般的なニュースとともにメタボの危険性を報じるニュースをXに対し、数日間にわたって集中的に配信するように依頼した。
山本氏は「これらの事例は法的に問題というわけではないが、(消費者を保護する上で)今後どう考えていくか」とし、いくつかのアプローチを紹介した。
プロファイリングをプライバシーや個人情報と捉え、関連法規に基づいて消費者を保護するという入口規制も「一定の歯止めとなる」と述べた。操作的・攻撃的なネット広告を対象に、取消権を新設するといった手法についても言及した。