消費者団体に大手飲料会社の回答相次ぐ(前) サントリーフーズ(利用規約)、キリンビバレッジ(返金)
利用規約に不当・不適切な文言があるとして、サントリーフーズ㈱に申入れを行っていた適格消費者団体の(特非)消費者被害防止ネットワーク東海(Cネット/愛知県名古屋市)は1月30日、同社から回答があったとホームページ上で発表した。ただし、回答の内容については開示しなかった。
また、特定適格消費者団体の(特非)消費者支援機構関西(ケーシーズ、大阪市中央区)は、昨年9月6日、消費者庁から景品表示法に基づく措置命令を受けたキリンビバレッジ㈱に対して問い合わせ活動を行っていた。その結果をきのう1日公表している。
Cネットは2021年11月22日付の文書で、サ社が販売する「天然ウォーターサーバー」の利用規約について、消費者契約法第9条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)、第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)に基づき、是正の申入れを行っていた。
サントリーフーズによれば、利用規約は「お客様が契約の申込みをしていただく過程で、申込み完了前に、ご確認いただくことが可能」としており、申し込み手続きに入った者が申し込みの完了前にしか確認することができない仕組みになっている。そのため、Cネットの公表資料を元に本事案の経緯を紹介する。
まず、利用規約「所有権法規条項」において、「当該定期配送に係わる天然水代に加え、返品手数料(配送単位1単位につき1000円(税込み1100円)をお支払いいただくとともに,当該定期配送に係わる天然水の所有権を放棄したものとみなします。)」(原文ママ)に対し、Cネットは消費者契約法第10条に基づき、「(サ社の規約が)売買契約が成立し天然水の所有権が購入者にあるにもかかわらず、購入者の天然水の所有権を放棄したものとみなすものであり、消費者の権利を制限するもの」とし、このような消費者の利益を一方的に害する規約は無効と指摘している。
また、「中途解約手数料条項」におけるサービス利用契約を中途解約した場合の手数料、および「違約金条項」において貸与プランの契約終了後に「お客さまが機材の返還に応じないとき,お客さまの所在が不明である等のお客さまが機材を返還できないと当社が認めるときは機材1台あたり違約金30000円をお支払いいただきます。」(ママ)との規約について、それぞれ法第9条、法第9条・第10条に適合するように改めることを求めている。
申入れに対してサ社広報部は今後、「規約の改定を予定している」という。
広報部は取材に対し、「今回の指摘を踏まえて、社内で改めて確認し、当社に生じた損害を適正にお客様にご負担いただく内容とするため、規約の改定を行うこととした。今後も関係法令を遵守して業務を遂行していく」と述べている。
さらに、規約の変更については3月1日、サントリー天然水ウォーターサーバーのサイト
で公表する予定としている。
(つづく)
【田代 宏】
<参 考>
〇消費者契約法
第9条
次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分
第10条
消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
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