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注目の「エキス等」機能性表示食品、明日から受付開始

<同等性の確認などポイントに>

 機能性表示食品制度の対象に追加された「機能性関与成分が明確でないエキス等」の届出受付が29日から始まる。機能性に関わる成分を複数含む植物由来エキスや、ローヤルゼリーといった分泌物についても届け出ることが可能になる。

 「エキス等」を機能性関与成分とする場合、1つ以上の指標成分について、機能性の作用機序が考察されていることが要件となる。「複数の成分を設定すること」や「『エキス等』に特徴的な成分であること」も要件とされている。

 安全性の評価では、届け出る食品と科学的根拠を示す試験に用いた食品を対象に、「エキス等」の規格の評価やパターン分析などによって、同等性を確認しなければならない。さらにサプリメントの場合には、崩壊性試験や溶出試験によって、最終製品としての同等性を評価することも求められる。既存情報の試験で用いたサンプルが入手できないケースでは、安全性試験を実施する必要がある。機能性の評価についても、同様の取り組みが要求される。

 また、届出者は届出データベースの機能性関与成分名の欄に、「〇〇エキス(指標成分;□□、△△)」というように記載しなければならない。

 従来の機能性表示食品のルールと比べて、同等性の担保などで厳しい要件が設定されている点が特徴となっている。このため、当面は研究レビューよりも、最終商品を用いた臨床試験による届出が主流になるという見方も出ている。

【解説】

<「エキス等」の現行ルール、業界団体は賛成>

 「機能性関与成分が明確でないエキス等」が制度の対象に加わった背景には、業界団体関係者が政治家に泣きついたことがある。このため、制度がスタートした翌年の2016年1月に早々と、「機能性表示食品制度における機能性関与成分の取扱い等に関する検討会」の初会合が開催されるという予想外の展開となった。

 同検討会では、学識経験者や消費者代表の委員から、「安全性や機能性を担保できるのか疑問」といった指摘が相次いだ。その結果、制度の対象とする範囲を植物由来エキスと分泌物に限定。同等性を確認するために厳格な要件が設定された。

 これに対し、業界内では不満が強く、ハードルを下げるように求める動きもある。しかし、同検討会に業界代表として参加した健康食品産業協議会と日本通信販売協会の関係者も、「エキス等」の要件について、賛成に回ったわけである。今頃になって、不満をぶつけても手遅れと言える。

 また、消費者庁は当初、「エキス等」の届出のテストランを実施し、届出時にミスしやすい部分を洗い出す方針を示していた。届出ガイドラインや質疑応答集に反映させて、届出者の理解を深めることが目的だった。ところが、業界団体が参加企業を募ったところ、1社も手を挙げなかったため、テストランは実施されなかったという。

 政治家に泣きついてまで制度の対象に加えてもらったものの、テストランに協力する企業は1社も現れず、挙句の果てには「検討会は開かなかった方がよかった」(業界団体関係者)という声も聞かれる始末だ。

 ハードルが高いと嘆くよりも、関係各社のチャレンジ精神と努力によって、届出の実績を積み重ねることが重要。信頼性の低い“いわゆる健康食品”として売り続けるのか、それとも安全性と機能性を担保し、堂々と機能性を表示できる機能性表示食品として消費者へ提案するのか――関係各社の動向が注目される。

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