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機能性表示食品の課題~社福協セミナー(下)

消費者庁食品表示企画課長補佐の久保陽子氏は、「機能性表示食品制度の現状~消費者の信頼を高めるために」と題して講演した。
 栄養機能食品や特定保健用食品などのこれまでの保健機能食品に対し、自己チェックシステムを導入することで、比較的低コストで商品を開発することを可能とした機能性表示食品制度ができるまでの経緯と制度の仕組み、制度をブラッシュアップするための取り組みなどについて話した。

<届出件数3,747件に>

 一定の機能性を担保するための取り組みとして、6つの内容で構成される機能性表示食品の届出ガイドラインは、「(同制度の)対象食品となるかの判断」、「安全性の根拠」、「生産製造および品質の管理」、「健康被害の情報収集体制」、「機能性の根拠」、「表示の内容」についてあらかじめ事業者が評価した上で届出を行うよう定めている。届け出された情報は国が受け付け、情報については消費者庁のウェブサイトで公表される。

 久保氏は、機能性表示食品の届出状況に関するデータを開示した。制度施行から7年目の今年7月5日現在、撤回を除く届出件数は3,747件(撤回430件)に上るとし、急速に届け出数が伸びている状況について「制度に対する事業者の理解が進んだのではないか」と分析した。

<医薬品成分も成分名表示しなければOK>

 「もっぱら医薬品リスト」に収載されている成分「γオリザノール」や「桑由来モラノリン」についても言及した。伊藤准教授の講演で「もっぱら医薬品として使用実態があるものは医薬品」という説明を取り上げて、「γオリザノールや桑由来モラノリンは、原材料たる食品中に含まれるもので、機能性表示食品として届け出をすることは妨げてはいない」とし、「安全性と機能性に関しての必要な科学的根拠が整えられて届け出されたということで公表に至ったもの。ただし表現法について、当該成分名は表現しないなどの工夫をしたことにより、医薬品とは誤認させないような工夫がなされている」と慎重に言葉を選びながら説明した。

<消費者の理解促進と信頼性向上のステージへ>

 同制度は、消費者が情報を得て、正しい情報に基づいて適正な商品を合理的に選択することができるようにするために開始された制度。消費者庁はこれまで、買上調査などの検証事業を実施し、安全性の確保、機能性の科学的根拠、品質管理という点を主に重視してきたが、制度が進み、その広がりに合わせて今後は、「消費者の理解促進と信頼性の向上を図るステージに移行したのではないか」との考えを示した。
 届出の数の増加に伴い、新規成分に基づく届出も増えたことから、「新たなエビデンスに基づいて届け出される商品の科学的根拠の蓄積と質の向上、消費者への誤認のない適正かつ的確な情報の提供を図らなければならない」と述べた。

<消費者の自主的かつ合理的な商品選択へ>

 そのために、安全性と科学的根拠の合理性を事後的にチェックするための「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」(事後チェック指針)を策定したと述べた。
 同指針は、機能性表示食品の科学的根拠に関する事項、機能性表示食品の科学的根拠の基本的な考え方や科学的根拠として明らかに適切とは考えられない具体例をを示している。また、広告その他の表示上の考え、届け出資料の不備における景品表示法上の取扱いについて示している。各法令上問題となる恐れのある事例などを示すことで、機能性表示食品に対する食品表示法、景品表示法および健康増進法にかかわる事後的規制の透明性を確保することにより、事業者の自主点検および業界団体の自主規制の取り組みの円滑化を図ることで事業者の健全な広報活動をサポートし、ひいては消費者の自主的かつ合理的な商品選択の機会を確保することを目的として運用されている。

 久保氏は、消費者にとって誤認のない機能性表示であるためには事業者に一定の科学的根拠に基づき適正な届け出、適正な表示をしてもらうことが不可欠だとした。一方、消費者はしっかりと表示を見て商品を選び、どういう商品かということを知るためにデータベースの情報を活用をしてほしいと、何度も繰り返した。

(了)

【田代 宏】

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