機能性表示食品の表示範囲をテーマに討論(前)
<疾病の予防・治療を暗示する表示は対象外>
機能性表示食品の表示範囲をテーマに、(公社)日本通信販売協会(JADMA)主催のセミナーが13日、都内で開催された。健康食品の販売会社を中心に200人以上の関係者が参加した。
消費者庁食品表示企画課食品表示調査官の久保陽子氏は、機能性表示食品の機能性表示の範囲について、「原則として健康な人を対象とし、部位も含めた健康維持・増進に関する表示」と説明。(1)疾病の治療・予防効果を暗示する表示、(2)健康の維持・増進を超えた意図的な健康の増強を標ぼう、(3)科学的根拠に基づかない機能性の表示――は認められないと強調した。疾病の治療・予防効果を暗示する事例に、糖尿病、高血圧、花粉症、副鼻腔炎、かぜ様症状などを挙げた。健康の増強を標ぼうするものは肉体改造、増毛、美白など。また、科学的根拠に基づかない表示の事例として、限られた免疫指標のデータを用いて身体全体の免疫に関する機能があると誤認を招く表現などを示した。
久保氏は、疑義情報が寄せられた場合の対応にも言及。「届出者に事実確認を行った上で、届出ガイドラインから逸脱していることが確認され、食品表示基準や食品表示法に違反すると判断されれば、指示や公表などとなる」と話した。
<消費者に誤解される表示は薬機法に抵触>
厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課危害情報管理専門官の小川雄大氏は、医薬品医療機器等法に基づく表示規制について講演した。
厚労省では医薬品かどうかの判断を明確化するため、「46通知」で判断基準を明示。薬機法上、「機能性表示食品だから、特定保健用食品(トクホ)だから特別に扱うことはない」とし、「『医薬品でない』と打ち消し表示を行っても免罪符にならない」との考え方を示した。
小川氏は、疾病の治療・予防を目的とする表現や、身体の組織機能の増強・増進を目的とする表現が医薬品的な効能効果に該当すると説明。「健康の維持・増進を明示した場合は、医薬品と同じような表現であっても直ちに医薬品と判断しないが、広告や容器包装で機能性の一部を切り抜いて表示した結果、医薬品として誤認されることもある」と注意を促した。また、「機能性表示食品であっても、逸脱した効能効果を表示した場合は、薬機法の規制対象となる」と釘を刺した。
(写真:13日に開かれたセミナーの様子)
(つづく)