機能性表示食品における課題の解決へ尽力
(一社)国際栄養食品協会(AIFN)
理事長 天ケ瀬 晴信 氏
新年おめでとうございます。超高齢化社会を迎えた日本にとって、健康寿命の延伸は重要な課題であり、予防を重視し、生活習慣を改善し、補助的にサプリメントなどを利用することは、個人の健康に貢献し、社会保障費の削減も期待できます。先行している米国では、サプリメントの摂取によって総額で5兆円を超える医療費節減が試算されています。
2015年に始まった機能性表示食品制度の下、総届出数も約1,500件となりましたが、関与成分の数や機能性の種類については頭打ちとも見える状況です。糖質・糖類の一部は対象となりましたが、各種ビタミン・ミネラル類などは対象外のままです。現在、我が国においてビタミン欠乏は克服されていますが、不足は極めて重要なリスクで、今後一層の研究と制度面での対応が求められます。
また、機能性表示食品制度の届出の簡素化や迅速化など手続き上の改善も求められていますが、改定されるガイドラインが、分析方法を示す資料開示を含めるなど、より厳しくなる方向へ移行していきます。さらに、先進的な取り組みをシステマティック・レビューというかたちで取り入れたことは画期的である半面、対象者が健常者であるということにとらわれたあまり、使用できる研究情報も健常者に限られ、疫学調査結果さえ使用できないものもあります。
このため、使用できる情報に制限があり、消費者の理解を促進するために困難があります。また、現在除外されている機能性の分野や、未成年や妊婦などが利益を受けられるものがあり、科学的に合理的な理由があれば、対象として拡大されるべきでしょう。
消費者が食品の機能性を理解して日常の生活にその機能性を取り入れていくために、情報提供と啓発が重要です。また、日本の高齢化社会への対応は、世界のモデルになり得ます。制度の参考とされた米国では、消費者の製品選択に寄与し、消費者啓発が進み、サプリメント摂取率は70%以上、販売額も制度制定時に比べ4倍以上の約4兆円に拡大しています。
当協会はこうした課題に取り組むため、引き続き関連団体や関係省庁、アカデミアなどと連携を深め、健康食品産業協議会の一員として、また、グローバルな視点から、海外関連機関を含む他団体とも協力して、より良い制度を目指して積極的な提案を行い、市場の健全な発展と国民の健康に貢献したいと考えます。
また、製造品質管理基準作りを認証制度協議会などを通じて広めていきたいと思います。今後、一層届出作業が円滑化され、エビデンスに基づいた健康食品市場が一段と飛躍することを祈念します。
以上、簡単ですが、年頭に際し、ご挨拶まで申し上げます。今年が皆様にとりまして輝かしい年になりますようお祈りいたします。