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機能性表示、ポリフェノール届出多く 100種類1,600件超 関連学会学術集会で報告

 日本ポリフェノール学会(板倉弘重理事長)の第15回学術集会が26日、東京・ニッショーホール(旧ヤクルトホール)で開催された。会場を使ったリアル開催は3年ぶり。プログラムでは、「機能性表示食品とポリフェノール」と題したシンポジウムが行われ、ポリフェノールを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出件数が、これまでのところ累計で1,600件超、成分数としては100種類に上るとみられることが伝えられた。機能性表示食品の届出件数は現在までに5,000件を突破しており、全体の中でも大きな部分を占めることになる。

 今回の学術集会の会頭を務めた、早稲田大学ナノ・ライフ創新研究機構の矢澤一良氏は、開会に当たり、「予防医学とQOL改善におけるポリフェノールの役割」と題して講演。「食による予防医学やQOLの改善」が自身のライフワークだとした上で、多くの植物に含まれるファイトケミカルであり、多種類が存在するポリフェノールについて、フレイル対策から感染症予防やメンタルヘルスまで、「メカニズム別に考えると多くの機能を持っていることがよく分かる」と指摘。特に、高齢者以外にも求められるフレイル対策について、部位別、そしてメカニズム別の観点から、ポリフェノールの利活用方法を改めて見直すことを提言した。

機能性表示食品テーマにシンポ 阪大森下・GNG武田両氏が講演

 機能性表示食品に関するシンポジウムでは、大阪大学大学院の森下竜一教授と、㈱グローバルニュートリショングループの武田猛代表がそれぞれ講演。森下教授は、企業責任で食品の機能性を表示する機能性表示食品制度の創設背景や意義、そして概要を解説し、「セルフケアやセルフメディケーションを行うために必要な情報を消費者に届ける。そのためのツールの1つ」が機能性表示食品制度だと説いた。

 また、国の健康・医療戦略にも関わる、2025年開催の大阪・関西万博について触れ、地元の大阪府・市が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン Nest for Reborn」の概要や構想を紹介。その上で、万博において「食(の機能性)は、日本として非常に大きな対外発信ツールになる。ポリフェノールについても、さまざまなデータを積み重ね、(研究成果を)海外に向けて発信していってもらいたい」と述べ、講演を締めくくった。

 一方、機能性表示食品に関するコンサルティングなどを手がける武田氏は、「ポリフェノールを機能性関与成分とした機能性表示食品の現状」と題した講演を行い、現在までの届出件数が3ケタに達しているブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン、イチョウ葉フラボノイド配糖体、葛の花由来イソフラボンなど、「(ポリフェノールの一種である)フラボイド(を機能性関与成分とするもの)もかなり多く届け出されている」と解説。グルーバルニュートリショングループの調べによると、機能性関与成分として届け出されたポリフェノールは、現在までに累計で100種類、届出総数としては1,809件、撤回除いても1,678件に上るとみられると伝えた。

 武田氏はまた、機能性表示食品制度とサイエンスの関係について、「制度に対応する(目的で研究を行う)と、必ずしもサイエンスの進化につながらない場合がある」との考えを述べた。なぜなら、機能性表示食品の「届出(に必要な要件)を意識した論文や試験系」が求められるためで、「届出のための研究なのか、イノベイティブな研究なのか、使い分ける必要があると思う」と語り、会場の研究者らに向け、研究目的の割り切りが求められると説いた。

板倉会長、「健康に大事な役割。しかし未解決の課題も」

 同学会理事長の板倉氏は、冒頭挨拶に立ち、ポリフェノールについて、「栄養学の中では明確な位置づけがなされていない。(これまでの研究成果から)健康に大事な役割を果たしていることが分かってきているが、未解決の課題がまだまだ残されている」と指摘。今後の研究報告を通じ、「私たちのこれからの健康に大いに役立つ知見が発表されることを期待している」と語った。

【石川 太郎】

(冒頭の画像:会場で撮影。壇上は会頭を務めた早稲田大学の矢澤氏)

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