昨年2023年の栄養補助食品の輸出金額が前年を下回りそうだ。年の前半は前年を上回るかたちで推移していたものの、後半に急ブレーキがかかった。ただ、栄養補助食品の貿易統計が始まった2年前との比較では増加。今年の推移が注目される。

ALPS処理水放出が影響か

　財務省の貿易統計によると、サプリメントなど栄養補助食品の23年1～11月輸出額は、累計で257億5,622万円。前年同期は294億3,443万円だったため、1割以上の減少となった。現時点で公表されている貿易統計は23年11月分までで、同年12月の輸出額が今後加算されることになる。だが、22年は通年で累計331億3,339万円と300億円を大幅に超えており、前年割れは確実とみられる。

　6月までは前年同月と比べて増加傾向で推移していた。だが、7月以降は落ち込みを見せ、10月は単月で20億円を割り込んだ。11月は約23億円と回復したものの、前年同月の約34億円には遠く及ばず。8月下旬から始まった、福島第一原発ALPS処理水の海洋放出が影響したと考えられる。

　一方で、21年との比較では、11月の時点で、通年の累計輸出額（230億1,117万円）を上回っている。24年は300億円台への回復が見られるかどうか。今後の輸出額推移に注目したい。

【石川太郎】