栄研の素材情報はNG、QAにさらり 差し戻しはガイドライン改定後から
「弊社の届出サポート製品でも同様のコメントがありました。天然物の安全性情報はまとめづらくなりますね」
12日付でウェルネスデイリーニュースサイトに上げたタイトル「機能性表示、届出の差し戻しに困惑」に対して、X(旧ツイッター)に寄せられたコメントである。
他にも、「当社の関連企業でも不思議なやり取りが聞かれていたが、他社でも同様であることが分かった」など複数の感想がメールなどで寄せられた。
編集部では、消費者庁、(国研)医薬基盤・健康・栄養研究所(国立栄研)、東アジアでナチュラルメディシン・データベース(NMDB)の権利を行使している(一社)日本健康食品・サプリメント情報センター(jahfic)に取材を行った。
差し戻しの根拠は何か? いつから始まったのか? 既存届出商品について、再届出の場合はどのような扱いになるのか? 行政と国立栄研、国立栄研とjahficとの話し合いは持たれたのか?
編集部には他にも、興味深い指摘が寄せられている。
例えばその1つ、「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」の安全性に関するフローチャートにおいて、届出様式(Ⅱ)で2次情報の信頼性を1次情報よりも客観性が高いとするかのように上位に配置していることが問題」などの指摘もある。安全性を自ら確認している事業者にとっては、ステップの上位にあるために仕方なく(2次情報を)利用している」というのである。
安全性評価に関するフローチャートの順番は新たなガイドラインでも同じ並びである。
ある専門家は「これは制度発足当初、データベースHFNetの利用者を増やし、情報を充実させるための予算口実だったのではないか」と言う。あくまで推測の域内だが、一次情報を確認しない事業者が多発したために、さすがにNMDB側も看過できなくなり、結果的に国立栄研側にデータの使用制限をかけざるを得ない結果になった。NMDBとしては、安全性・有効性・相互作用などについて1,200件という成分、約1,000万編に及ぶ試験論文を系統的にレビューすることにより膨大なコストを費やしている。いわば当然の措置とも考えられる。しかし、jahficは発足当初から、国立栄研のデータベースがNMDBの著作権に抵触するとの警告を発し続けていた。見逃せなくなったのはおそらく、NMDBの米本国側ではないか。
そして今回、消費者庁は「機能性表示食品に関する質疑応答集 問21」をさらりと修正して済ませることにした。
「本来であれば、事業者団体を通じて通知を出すなり、届出点検の開始を周知すべきではなかったか」との声もある。仮に、あらかじめ団体などに通知されていたとしたならば、それはそれで関係者の怠慢ということになるだろう。
今後、これが理由で事業者の売上を大きく毀損するような事態が起きた場合、行政訴訟に踏み切る事業者が現れないとも限らない。ところが、消費者庁はその辺も見越してか、事を荒立てないようにうまくさばいているようにも見える。【田代 宏】
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