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柔軟な被害者救済への道示す~第5回「消費者裁判手続法検討会」

 消費者庁は3日、第5回「消費者裁判手続特例法等に関する検討会」(消費者裁判手続法検討会)を開催した。

 今回の検討会では、第3回の検討会で議論された、消費者裁判手続特例法の「対象となる事案の範囲」、「共通義務確認訴訟における和解に関する規律の在り方」について、さらなる意見を委員から求めた。

 「対象となる事案の範囲」について現行法上では、債務が履行されず、本来得られるはずだった利益を喪失したために起きた消費者の損害や、消費者の生命や身体を害されたために生じた損害、慰謝料などは対象外と定められている。また、法人である事業者の代表者や従業員などの「個人」は被告としないとされている。
 
 垣内秀介委員(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「対象になるのかならないのか、対象になるならばどこまでが範囲なのかなど、きめ細やかな類型化が必要」と意見した。沖野眞已座長代理(東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、「個別性が強いという理由だけで、慰謝料が画一的に対象から外されるのはおかしい。現在対象外としている拡大損害について、その定義を明確にすべき」と述べた。

 河野康子委員(特定非営利活動法人消費者スマイル基金事務局長、(一財)日本消費者協会理事)が、「慰謝料の算定方法に、一定のルールが必要」と意見したのに対して、後藤準委員(全国商工会連合会常務理事)は、「対象消費者の中には、精神的被害を感じていない人もいる。被害を感じていない消費者を、感じているとして慰謝料の請求対象に加えることは無理がある」と指摘した。

 「共通義務確認訴訟における和解に関する規律の在り方」について、現行法上では、共通義務が存在、または存在しないことについての訴訟上の和解しかできないということになっている。それに対して、現行法よりも柔軟なものとする方向で検討すると、基本的な方向性を示した。

 河野委員は、「多種多様な集団的消費者被害への柔軟な対応が可能になり、さらなる消費者被害の救済の拡大につながる」と期待を寄せた。山本座長は、「1人でも多くの消費者の救済につながるのであれば、柔軟に対応することは望ましい。和解の対象からこぼれ落ちた消費者を、どう救うのか検討する必要がある」とまとめた。

 同検討会は、7月~8月ごろに取りまとめを行う予定。

【藤田勇一】

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