東洋新薬、ガルシノールを届け出る 【機能性表示食品届出DB更新】肝臓ケアの新規関与成分に
消費者庁は4日、2024年最初の機能性表示食品の届出データベース更新を行い、23年11月16日から17日の2日間に提出された15社15件（サプリメント8件、サプリ以外の加工食品7件、生鮮食品ゼロ件）の新規届出を受付公開した。
「インドマンゴスチン由来ガルシノール」という新規の機能性関与成分の届出が含まれる。㈱東洋新薬（本部：佐賀県鳥栖市）を届け出たもので、届出表示は「健康な人の健常域でやや高めの血中ALT値、AST値を低下させる機能があることが報告されています。血中ALT値とAST値は、肝臓の健康状態を示す指標の一つです」。同社で有効性を検証した上で、研究レビューを行った。
インドマンゴスチンは、アーユルヴェーダで使用されているといわれる果実。ガルシニアインディカの別名（学名）が知られる。
肝臓の健康維持機能を訴求できる植物由来の機能性関与成分が新たに登場した格好。同機能を訴求する機能性表示食品は、これまでに約50件が届け出されているが、機能性関与成分は数が限られているうえ、大部分をスルフォラファングルコシノレートが占める。今回の東洋新薬による新たな届出は、機能性関与成分の選択肢を広げることになる。
エキスの届出が新たに
また、抽出物（エキス）の枠組みで、「ジンジャーエキス」の届出が初めて受付公開された。指標成分は6-ショウガオールと6-ジンゲロール。
ショウガ由来の両成分は、いわゆる「冷えケア」（抹消部位の体温維持）の機能性関与成分として届け出されてきた。それを指標成分とする届出は今回が初めて。届出表示もショウガ由来素材としては新しく、便秘気味の人の排便回数を増やす働きが報告されている旨を届け出ている。届出者は池田糖化工業㈱（広島県福山市）。
これでエキスの届出件数は累計24件になった。これまでに届け出されていたエキスは、熟成にんにくエキス（指標成分：S-アリルシステイン、アルギニン）、秋ウコンエキス（同：ビサクロン、デヒドロジンゲロン）、月桃葉抽出物（同：ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン、5,6-デヒドロカワイン）、プロポリスエキス（同:アルテピリンC、クリフォリン）、ジャバラ果皮粉末エキス（同：ナリルチン、クロロフィルab）、ゲッケイジュ葉エキス（同：デアセチルラウレノビオリド、コスツノリド）、ウコンエキス（同：ウコン由来多糖類、p-クマル酸）、未熟温州みかんエキス（同：ヘスペリジン、ナリルチン）、ノコギリヤシエキス（同：ラウリン酸、オレイン酸、β-シトステロール）──の9エキス。
このほか、㈱エバーライフ（福岡市中央区）からの新規届出が目を引く。『皇潤』シリーズの1つとして届け出たもので、機能性関与成分名は「非変性Ⅱ型コラーゲン（三量体として）」とされている。「三量体」という、非変性Ⅱ型コラーゲンでは従来にない生化学的表現を採用して届け出た。三重らせん構造を持つコラーゲンは、三量体のタンパク質とされる。
届出表示についても、新規ではないが既存届出との違いがあり、ひざ関節に加えて腰に対する働きも訴求する。「ひざ関節の柔軟性・可動性を助けること、歩く、階段の昇り降り、正座する、立ち座り、腰を反らす、腰をひねるといった日常生活におけるひざや腰の悩みを改善することが報告されています」とされている。
取り下げが11件と多く
なお、この日の更新は、撤回届出の追加件数が多かった。計11件に上る。森永乳業㈱（東京都港区）がトリペプチドMKP（メチオニン-リジン-プロリン）を機能性関与成分にしたヨーグルトなど5件を「販売の予定が無くなった」ことなどを理由に取り下げた他、㈱健康家族（鹿児島県鹿児島市）がGABAやヒハツ由来ピペリン類を関与成分とするサプリ2件を「販売する予定がない」として取り下げた。トリペプチドMKPについて森永乳業は22年以降、「カゼインペプチド（トリペプチドMKPとして）」の名称で届け出を進めている。
また、昨年の6・30措置命令の煽りを受けた撤回届出も見られる。ジャパンメディック㈱（富山県富山市）、富士山天然水合同会社（旧社名：VanaH㈱）、森永乳業㈱の3社が新たに取り下げた。ジャパンメディックは取り下げ理由について、「令和5年7月3日の貴庁からの照会事項への対応ができないため」と届出情報上で説明している。
そのほか、㈱三源庵（京都市伏見区）がドナリエラバーダウィル由来ベータカロテンを機能性関与成分として配合するカステラの届出を取り下げたという。製品規格を見直す、とされている。
【石川太郎】
