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書面の電子化、消費者委員会に諮問 消費者庁の奥山課長、消費者団体の懸念に答える

 消費者庁は20日、「特定商取引に関する法律施行令及び預託等取引に関する法律施行令の一部改正」(案)について消費者委員会(後藤巻則委員長)に諮問した。

この中で、「検討会報告書と政省令案に齟齬があるのではないか」として、日本弁護士連合会や消費者団体から寄せられている懸念について、消費者庁取引対策課の奥山剛課長が説明を行った。

多くの団体から懸念が表明されているのは、契約書面を閲覧する際のデバイスに関するもので、消費者団体などは、①電磁的方法によって提供される事項を閲覧する電子機器はスマホではなく、タブレットサイズ以上の画面の大きさがあること、②メールの件名表示や本文の記載について具体的な記載方法を明記すべきこと――の2点を要求している。

これに対して奥山課長は、政府全体のデジタル化原則との関係から検討した。デジタル臨調の事務局からの見解も取り入れたと説明。
「この制度は大前提として消費者が望む場合に電子交付を受けるようにできる制度。原則としては書面であることは維持されているという中で、消費者が電子(による書面交付の方)がいいと希望している限り、できるだけ制約は少ない方が良いとの見解をいただいた」とし、総務省の情報通信白書によれば、スマートフォンの普及率はほぼ9割でなおも伸び続けている。他方、パソコンは7割、タブレットに至ると4割で頭打ちの状況だとした。
いろいろな社会システムがスマートフォンを前提に組まれており、交付書面の中身をスマホ画面の大きさに表示したらどうなるかというよう実験も実施。法定の伝達事項にある「赤字赤枠8ポイントで表示すべき」というところを、実際に赤字赤枠8ポイントで表示すると、意味のまとまりである1つの段落が途切れずに表示できる大きさというのが、スマホの大きさであれば可能とした。

 メールの件名についても説明した。第1の目的は消費者が大事な情報をしっかりと認識するとこと。そのための入口として、メールの件名をどう書くべき、本文をどう書くべきという細かい規定で縛るのではなく、届いたことを事業者に確認をさせる。大事なことが赤字赤枠で書いてあるということが消費者に分かるように、より効果的な手段として出口で縛る方針を取ったと述べた。

 奥村課長は、スマートフォンを悪用するかたちで消費者に読みにくくするような手口を使うよう悪質商法の事例も承知している。これを許さないために、「消費者が明瞭に読むことができるという規定を合わせて設定することによって、これをまたガイドラインでしっかりと落とし込むという根拠にすることによって、安全性とその利便性の両立を図りたいというふうに考える」とした。

【田代 宏】

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